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日本建築の遺伝子を探る 森美術館で「建築の日本展」 (2)

人民網日本語版 2018年08月29日09:10

 ▽超越する美学

第2セクションは「超越する美学」で、もののあはれ、陰影礼賛、無常といった美意識が日本建築の歴史に綿綿と受け継がれてきた様子を紹介する。第1セクションよりもさらに日本的特徴が現れたセクションだといえる。

 初めに登場するのは伊勢神宮正殿(内宮)で、直線的な外観を特徴とする「神明造(しんめいづくり)」の様式で造営されたものだ。古代の日本人は「うつくし」という言葉で柔和な美しさ、清らかな美しさを表現し、伊勢神宮はその代表とされる。「神明造」は出雲大社を代表とする「大社造(たいしゃづくり)」や住吉大社を代表とする「住吉造(すみよしづくり)」とともに日本最古の神社の建築様式であり、また後の二者が曲線の美しさを特徴とするのと異なり、極めて簡素で直線的な造形美と素木(そぼく、しらき)の美しさを最も際立たせた建築物だといえる。模型をみると神明造の構造の特徴を直感的に理解することができる。礎石はなく、柱だけで屋根を支える掘立式だ。

礎石がない建築は脆弱で長くもたないのではないかと思われるが、日本人は定期的に社殿を新たに造営する「遷宮」によって神宮造の建築様式を維持・伝承し、木材のきめの細かさと新しさを保ち、ヒノキの香りとかやぶき屋根の輝きを失わないようにしてきた。伊勢神宮は約1300年前に造営され、遷宮は「皇家第一の重事、神宮無双の大営」と称され、20年に1度行われる。2013年に第62回目が行われ、「無常」と「常なる新しさ」のはざまでもののあはれととこしえとを体現してきた。

このセクションのもう1つの重要な展示物は鈴木大拙記念館の模型だ。鈴木大拙は日本の禅文化を海外に広く伝えた仏教学者。伊勢神宮正殿が構造と素材によって柔和さともののあはれの美を体現するものなら、鈴木大拙記念館はその建物で禅の世界を体現する。 

▽安らかなる屋根

第3セクションは日本建築の屋根がテーマだ。日本人は屋根を極めて重要なものととらえ、機能性と象徴性が共に備わり、個と共同体を調和し、内部と外部を仲立ちするものとしてきた。安心感を与え守ってくれるものでもあった。


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