中国の動画共有サービス・騰訊視頻(テンセント動画)は今年6月から、NHKと提携して製作する人間模様を定点観測するドキュメンタリー番組「ドキュメント72時間」の中国版を配信している。同番組では72時間(3日間)に渡る取材を通して、リアルな中国社会を紹介している。北国網が報じた。
中国の庶民は今どんな暮らしを?
中国版「ドキュメント72時間」は全13回で、13ヶ所の異なる場所をそれぞれ 72時間取材する。そして、エピソードが起きた場所を行き交う人々を取材して、その物語や人々の心の世界をカメラに収める。
15歳の時に、ダム建設の関係で家族と離れ離れになった男性が50年ぶりに妻と娘を連れて、大型客船に乗って海を渡り故郷へ帰った。しかし、世の中の移り変わりは激しく、故郷に当時の面影は全くなく、地名までもが変わってしまい、家族や親戚がまだそこにいるのかさえ分からなくなってしまっていた。しかし、幸運にも、小さな手がかりから、1日たりとも忘れることの無かった親せきをついに見つけ出す。
上海静安区の戸籍手続きを扱う役所のホールには上海を離れて30年以上海外に住んでいた女性の姿があった。その女性は、父親が病に倒れたため、看護が必要になり、生まれ育った街に戻って、臨時居住証の取得手続きをしていた。彼女は、「ここには私のものは何もない。帰って来たくても帰ってこれない」と話す。香港地区から仕事で上海に派遣され7年住んでいる別の男性は、毎年「居住登記」の手続きをしなければならないものの、上海に着いて飛行機から降りるたびに、「家に帰ってきた」と感じるという。
何の変哲もない普通の場所で、庶民の日常生活における一幕を見ることができる。同番組を通して、知らない街で起きている「見慣れた光景」を目にすることができ、他人の身に起きていることでも、自分が経験していることのように感じて、思いやることができる。
偉大な今の時代において、ドキュメンタリーは何を記録するのか?
「ドキュメント72時間」はNHKで10年間にわたって放送されている。海外のドキュメンタリー番組が中国でリメイクされることは珍しいため、中国版「ドキュメント72時間」の張学嬌監督は当初オファーを受けるか迷ったというものの、NHKサイドのプロデューサーから、「日本には1億人のエピソードしかないが、中国には13億人のエピソードがある」と励まされたという。
中国は広大で、住んでいる人の生活レベルの格差も大きいため、今の中国や中国人の生活の様子を、いかに13回に濃縮して紹介するかが、同番組の製作において一番の課題となった。その点、張監督は、「中国版の『ドキュメント72時間』を見ると、すごくシンプルなドキュメンタリーと感じるかもしれない。しかし、中国人なら誰でも行ったことがある場所を探して、最も客観的なやさしい目で、感動のエピソードを紹介し、社会に完全に溶け込むことができれば、映像を通して今の中国の温かさを記録することができるかもしれない」と語る。(編集KN)
「人民網日本語版」2018年9月28日
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