中国のどこが日本と一番違うかといえば、なんといっても発展が極めてアンバランスだという点にあり、特に都市部と農村部との格差に違いがある。「証券時報」が伝えた。(文:李宇嘉・ベテラン不動産研究者)
2009年の金融危機後、米国ミシガン州デトロイトに「売値1ドルの住宅」(1ドルは約112.9円)が登場した。当時の報道によると、中国人が買いたたいたというのだが、実はこれは「ハニートラップ」で、「1ドル住宅」の後ろには巨額債務のブラックホールがあり、修繕費用が数千ドルかかる、元の持ち主が滞納した固定資産税が数千ドルある、治安が悪くスリが横行する地域で犯罪発生率は200%上昇など、さまざまな問題を抱えていた。最近、日本にも「0円物件」が登場した。産業が衰退し、人口が流出するデトロイトの「1ドル物件」と比較してみると、土地が狭く人口は多く、山地の多い日本に「0円物件」が出現したのは、高齢化、大都市化、若い世代の住宅購入に対する消極的な態度などと関係があるとみられる。
日本の大都市化、都市圏への集中は、世界でもとりわけ顕著で、関東地方と関西地方の3大都市圏(東京、大阪、名古屋)に全国の人口の70%が集中し、国内総生産(GDP)の70%が生み出される。特に大東京圏は北京市よりも小さい面積に、日本の人口の約29%が集中し、GDPの30%を生み出している。広大な面積の他地域(九州地方、東北地方、北海道など)は人口がますます減少し、空き家率はますます上昇している。ここ数年、日本の空き家率が世界の注目を集めており、富士通研究所のまとめた報告では、2013年に日本には空き家が820万戸あり、空き家率は13.5%に達した。この状況が続けば、取り壊しになる住宅戸数を計算に入れても33年の空き家率は22.8%になる。これはつまり、住宅100戸のうち20数戸は誰も住んでおらず、貸し出そうにも借り手もいないということだ。
1990年代初めての不動産バブル崩壊、株式市場の大暴落、それから20年以上にわたった経済低迷、不動産価格と株価の持続的低下を、現在30歳前後の世代はその目で見てきた。さらに現在は子育てや親の介護のプレッシャー、仕事のプレッシャーがどれも大きく、若い人の3大欲望とされる結婚、子ども、住宅購入への意欲が減退している。こうした状況と相まって、日本に中国のような「2人っ子ブーム」や「Uターン不動産購入ブーム」が起きることは考えられない。そこで人口が農村から都市へ移動し、小都市から大都市へ移動する流れの中、空き家は農村だけでなく小都市にも広がっている。予測では、53年の日本の人口は1億人を割り込み、高齢化率は40%に達し、さらに60年には8800万に減少する見込みだ。そうなると空き家は増えることはあっても減ることはない。
中国が日本の不動産市場問題の研究に熱心な理由は2つあり、まず両国が儒教思想の影響を深く受けており、国民が上昇志向で努力すること、そして日本が隆盛から衰退へという不動産の全プロセスを経験したことがある。現在、中国の不動産バブルが引き起こすシステム上のリスクがいろいろ議論されており、中国は高齢化と大都市化を経験しつつある。15〜17年には、中国の三線都市、四線都市、五線都市の600都市以上が前例のない不動産市場の繁栄を経験し、不動産価格が軒並み上昇して、単価1万元(1元は約16.4円)以下の物件は希少になった。興業証券の研究では、16〜17年には不動産ローンの50%と消費ローンの60%が三線・四線・五線都市に流れ込んだが、不動産市場を支える人口と産業は高く評価されなかったという。
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