しかし目端の利いたブランドが徐々に商機を見いだすようになり、ディーゼルやカルバンクラインなどがカウズに提携を持ちかけ、ブランドに活力を与えてほしいと考えるようになった。
こうしてカウズはストリートアーティストから、ブランドやファッション界に注目される芸術家になり、米国、英国、フランスの各地で個展を開くようになった。長期的なコラボを展開するファッションブランドもどんどん増えていった。
▽カウズのデザイン展はチケットが入手困難
トレンドを別にしても、カウズの作品は人々に強烈な印象を与える。
カウズの作品には繰り返し描かれるイメージがよく登場し、たくさんの色彩が入り乱れ、モチーフの多くは世界的に有名な漫画やアニメのキャラクターだ。ザ・シンプソンズ、スポンジ・ボブ、スヌーピーなどが多く登場する。
創作手法の点では、カウズは有名なキャラクターを再構築するのを好み、わかりやすいポップアートのテイストが作品とビジネスを結びつきやすくする。注文が細かいことで有名なヒップホップ歌手のカニエ・ウェスト(中国のファンは「カニエ爺さん」と呼ぶ)でさえ、大金をはたいてカウズにアルバムジャケットのデザインを依頼したくらいだ。
かつてカウズが落書きしたポスターを張り替えていた掃除係も、カウズのブレイクで一儲けしている。10年頃、オークション市場に出すと1枚あたり数万ドル(1ドルは約107.9円)で売れたという。
その後たまたまチャンスがあり、カウズは招待を受けて日本を旅行し、東京で人気ブランドの関係者と知り合いになった。そのうちの1人がカウズにフィギュアのデザインを依頼し、こうしてカウズ初の3次元作品が登場した。
このフィギュアはミッキーマウスの体に骸骨の頭が乗っかったようなミニモンスター風で、両目はカウズのシンボルといえるバッテンになっている。名前は「コンパニオン」でカウズの代表的作品になった。