日本の保温ボトル大手・象印が失策で苦境か?

人民網日本語版 2019年12月28日10:12

「人が中年になるのはやむないこと、保温ボトルにクコの実を浮かべ(て栄養を摂取し)よう」。これは戯れ歌だが、保温ボトルが今や多くの人にとって日常生活の必需品であることは間違いない。普通に考えれば、保温ボトルの「兄貴分(大手メーカー)」である日本・象印マホービン株式会社は売上高がどんどん増加するはずだが、現実はその逆の様相を呈している。象印が現地時間の25日に発表した2019年度決算によると、中国需要が減少したため、これまで卓越した収益力などと賞賛されてきた同社が苦境に陥っているようだ。「北京商報」が伝えた。

日本紙「日本経済新聞」の中国語版サイトによれば、象印の19年度の純利益は前年比8%減少して40億円になり、売上高は同7%減少の791億円だった。中でも中国での売上高は27%も大幅に減少し、日本国内の売上高も2%減少した。越境ECと訪日外国人の売り上げの低迷に直面した象印は、日本人向けの高級格炊飯器は売り上げを伸ばしたものの、それで全体の減少幅を補うことはできなかった。データによれば、19年度営業利益は同13%減少の54億円だったという。

スマート炊飯器と保温ボトルは象印の看板商品だ。18年度のデータでは、営業収入の63%が炊飯器などのキッチン家電、31%がステンレス保温ボトルなどの生活用品によるものだった。「高品質」を売り物にする象印の製品は、他の多くの日本メーカーより価格が高い。過去数年間、象印は中国人観光客が日本旅行で「買うべき物リスト」のほぼ常連だった。

象印のピークは15年の純利益は63億円に達して、前年比68%増加して、過去最高を更新した。また訪日外国人観光客の「爆買い」に牽引されて、売上高も同17%増加して897億円に達し、こちらも過去最高を更新した。

しかし16年になると、象印は坂道を下り始めた。同年の決算によると、売上高は892億円に微減した。注目されるのは、市川典男社長が当時の決算報告会で重要なデータに言及したことだ。それは16年度の免税店売上高が19億円で、前年度の36億円の半分に減少したというデータだった。

「爆買いから通常に戻った」というのが、市川氏の説明だ。この説明から象印が免税ルートとその背後に存在する訪日観光客に相当依存していた可能性が高いことも浮かび上がった。

象印の海外営業収入をみると、約4割を占める中国が最大の市場だ。しかしここ2年ほどは、中米貿易摩擦や人民元切り下げの影響により、中国人観光客の日本でのショッピングは勢いに陰りが出始めている。今年初めに日本の観光庁がまとめた統計データでは、昨年の訪日外国人観光客は3119万人に達し、観光消費は約4兆5千億円で、ともに過去最高だった。中国人観光客の数が引き続き1位だったが、1人あたり平均消費額をみると、17年にトップだった大陸部が今は4位に後退している。中国人の旅行スタイルにも変化が生じ、「爆買い」よりも体験をより重視するようになった。

「爆買い」現象が減退することに対して日本企業は懸念しており、象印もその中の1社だ。しかし減少傾向は訪日観光客の消費の変化だけが原因ではなく、象印が海外市場で圧倒的シェアを持つ存在ではないこと、最大のライバルのタイガー魔法瓶株式会社が海外進出の歩みを加速させていることも考えられる。アマゾン中国の17年越境ネット通販トレンド報告では、保温ボトルでタイガーがトップだった。これは1つの側面から、ECにまだ進出していないという象印の弱点の1つを映し出してもいる。

このような背景の中、市川社長は19年度決算について、「低価格で売られることを懸念したため、ECサイトになかなか足を踏み入れなかったことが影響した」と指摘した。そこで象印は中国でECに進出すると同時に、新製品を売り出す計画を立てている。また20年度の売上高を前年比2%増の805億円、営業利益を同1%増の55億円にするとの目標を掲げた。

注目されるのは、今の象印が力を入れているのは中国市場だけではないことだ。今年2月にはドイツ・フランクフルトで開催された世界最大規模の消費財見本市「アンビエンテ」に16年ぶりに出展し、欧州市場進出の足がかりとした。またインドも潜在的な市場の一つだと考えられる。(編集KS)

「人民網日本語版」2019年12月28日

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