高解像度顕微CT技術、カンブリア紀の動物脱皮の謎を解明へ

人民網日本語版 2020年01月03日14:51

脱皮桶螺の脱皮中の殻の外部構造(画像提供・中国科学院南京地質古生物研究所)

中国科学院南京地質古生物研究所の研究者はこのほど、雲南省玉案山にあるカーボナタイトの岩石から、今から5億1800万年前の新型ヒオリテス「脱皮桶螺(Cupitheca decollata)」を発見した。彼らは高解像度顕微CT技術を採用し、これに走査電子顕微鏡を組み合せ、その脱皮の一部始終を初めて復元し、動物の脱皮行為の起源と進化の謎を解明する重要な手がかりを提供した。研究成果は国際的に権威ある学術誌「古生物学ジャーナル」に掲載された。科技日報が伝えた。

動物の外殻の出現は、動物の進化の歴史における非常に重要な革新的な出来事だ。身体構造の形成、脆弱な軟体の保護及び生態拡張の実現などに対して重要な意義を持つ。しかし成長を続ける殻は動物の運動を妨げ、エネルギー消費量を拡大する。この弱点を克服するため、一部の殻を持つ動物は特殊な生存方法である脱皮を編み出した。これは仕切りを作り、殻を溶かす物質を分泌して、先端部分を切り離すことだが、その起源と進化についてはこれまで謎だった。

南京地質古生物研究所の殷宗軍副研究員によると、彼らが発見したこの脱皮桶螺の殻は湾曲しており、横に切断すると円形を呈し、殻の先端は頸状構造。殻の表面の構造により、脱皮中もしくは脱皮の間の期間とみられる。彼らは電子顕微鏡の観察を踏まえた上で、高解像度X線3D無侵襲イメージング技術を採用し、脱皮中の異なる発育段階の標本の3D再構築を行った。桶螺の殻内部の2層仕切りの形成、殻の外側のリングの形成、先端の脱落の一部始終を再現した。

彼らは脱皮桶螺が一生のうち少なくとも2回は脱皮すると見ている。生存競争が激しかったカンブリア紀に、食物連鎖の底辺に位置していた桶螺は定期的な脱皮によりエネルギー消費量を効果的に削減し、運動能力を高め、捕食者から逃れることができた。これはカンブリア爆発が動物の身体構造の爆発であり、動物の生存方法の大変動でもあったことを間接的に示している。

殷氏によると、桶螺の脱皮現象は動物の脱皮行為に関する最古の化石記録であり、その複雑な脱皮構造や過程は過去及び現代の腹足綱の脱皮の過程と異なっている。これはその裏側にある遺伝子調整メカニズムの差を反映しており、個体群によって独自の脱皮方法が何度も生まれたことを反映している可能性がある。(編集YF)

「人民網日本語版」2020年1月3日

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