タバコを吸うのは寂しさを紛らわせるため?逆効果の可能性との最新研究

人民網日本語版 2022年07月19日15:04

タバコをよく吸う友人に言わせると、彼らは寂しさを紛らわせたり、孤独から逃避するためにタバコを吸っているのだという。しかし、タバコを吸うことで、本当に孤独感は和らぐのだろうか?科普中国が報じた。

タバコを吸うと寂しさや孤独、イライラが増す可能性

タバコを吸うと、ニコチンが肺を通して脳に達し、ニコチン受容体と結合して、ドーパミンが放出され、快感が生じる。しかし、その放出されたドーパミンが消失すると、喫煙者の気分は落ち込みがちになり、脳はもっとタバコを吸って、たくさんのニコチンを吸収し、ドーパミンの放出を維持しようと要求するようになり、それに相応して気分がさらに落ち込むことになる。こうした悪循環に陥ると、イライラしたり、気分が落ち込んだりする。

しかも脳は、ニコチンの刺激を受け続けると、不可逆的な変化を起こす。ある興味深い研究結果によると、喫煙者が美味しい料理の写真を見た時の脳の反応は非喫煙者よりも弱かった。また、別の研究では、急性心筋梗塞を起こした場合、喫煙者のほうが気分が落ち込んだり、イライラしたりしやすいことが分かっている。

青春期のニコチン曝露は脳に悪影響の可能性も

情動の表出、意欲、そして記憶や自律神経活動に関与している大脳辺縁系は、思春期・青少年期に少しずつ成熟していくため、ニコチンの影響を長期にわたって受けやすい。青春期にニコチン性アセチルコリン受容体が異常な刺激を受けると、ニューロンのシグナル伝達に持続的な変化が生じやすい。

多くの動物実験を通じて、青春期に慢性的にニコチンに曝露すると、学習や認知に長期的な悪影響を及ぼし、集中力や記憶力が低下したり、衝動的になったり、イライラしやすくなったりすることが分かっている。

タバコを吸うと逆に増す孤独感

医学雑誌「ランセット」に掲載された、約9000人を対象に12年間行った追跡調査の結果によると、タバコを吸わない人と比べると、吸う人は社会的により孤立しやすく、孤独感をより強く感じることが分かった。喫煙者は家族との会話が少なく、社交的活動に参加することが少なく、喫煙歴が長くなるほど、そのような状況が深刻化するという。

タバコ依存と抑うつといったネガティブな感情は因果関係にあり、悪循環が生じやすい。実際には、喫煙者自身に気分が落ち込んだり、イライラしたりという症状が出るだけでなく、副流煙を吸ってしまう人にも悪影響を及ぼす。例えば、多くの研究で、妊婦が副流煙を吸うと、気分が落ち込んだり、イライラしたりしやすいことが分かっている。

中国には、「酒の力を借りて、寂しさを紛らわそうとすると、寂しさが増す」という言葉がある。実際には、タバコも同じで、それで寂しさを紛らわせようとすると、逆に寂しさが増してしまう。そのため1日も早く禁煙し、社交的活動にできるだけ参加したり、心療内科の医師に相談するというのが、寂しさを解消する正しい方法と言えるだろう。(編集KN)

「人民網日本語版」2022年7月19日

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