カタツムリの粘液、傷口を修復する天然粘着剤

人民網日本語版 2023年02月08日11:11

中国科学院昆明植物研究所の呉明一研究員のチームがこのほど行った研究により、カタツムリ由来の天然多糖類ベース生体粘着剤に優れた止血効果、生体適合性、生物分解性がある上、慢性創傷の治癒を速めることが明らかになった。これに関連する研究論文はオープンアクセスの学術雑誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」にオンライン掲載された。科技日報が伝えた。

呉氏のチームは長きにわたり天然プロテオグリカン新薬の研究開発に取り組んできた。最近、同チームは傷口管理の臨床上の需要に狙いを定め、天然プロテオグリカンの純化生成、構造解析、構造活性相関、薬理活性、創薬可能性評価などの基礎研究に着手するようになり、天然由来の糖類新薬の研究開発の新たなブレイクスルーを目指している。

同チームは、軟体動物であるカタツムリが分泌する粘液の高い粘着性により湿った岩や木の上を這い、生息できることを発見した。古代ギリシャの「医学の父」とされるヒポクラテスはカタツムリの粘液に保湿と、腫れの解消、消炎・鎮痛の機能があることを記録していた。

同チームのメンバーはカタツムリの粘液を集め、殺菌した後に冷凍・乾燥を経て多孔高粘着性の天然粘着剤を得た。深く研究した後、カタツムリの粘液にヘパリン系の、顕著な抗凝血活性を持たないグリコサミノグリカンが豊富に含まれることを発見した。プロテオミクス分析によると、同天然粘着剤には百種余りのタンパク質が含まれる。

実験と研究によると、同天然粘着剤は皮膚の傷口を効果的に癒合させることができる。その効果は臨床で使用されているフィブリングルーと医療用508粘着剤を上回っている上、抜糸による二次損傷を回避できる。病理切片の分析でも、同天然粘着剤は肌の肉芽組織、毛嚢、皮脂腺などの再生を促進し、コラーゲンの蓄積を速めることが分かった。(編集YF)

「人民網日本語版」2023年2月8日

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