映画「掃毒」 「仁義」を語る香港映画
ビデオの時代やそれより前の任侠映画の時代にしろ、また歴史物にしろ現代のアクション映画にしろ、正義のストーリーは不滅のテーマで、香港映画とともに隆盛し、その輝かしい時代を共にしてきた。1970年代や同80年代生まれの世代で「男たちの挽歌」や「古惑仔」といった仁義映画の影響を受けずに成長した人は少ないことだろう。残念ながら21世紀を迎えるころ、こうした映画は香港映画に見られなくなり、代わりに活躍の舞台を大陸部に移すものが多くなった。京華時報が伝えた。
映画「掃毒」(The White Storm)のテーマは薬物取締だけでなく、薬物取締を男性たちの絆を描く道具立てとしている。映画は大事な場面で古い歌をBGMとして流れ、またタイでの薬物取締の失敗を転換点としている。この転換点を境に、前半は警察の名の下で正義を追求し、ここ数年の警察と裏社会を描いた映画のレベルを保ちながら、後半では警察の枠組から抜け出し、個人的なヒロイズムに基づくストーリー展開で1980年代から同90年代の香港映画のムードを漂わせている。転換点を境に、男性3人の立場と性格も大きな転換を迎える。序盤は疲れた様子の古天楽(ルイス・クー)が、颯爽としたハンサムなイケメン上司に変わり、それまでまとめ役だった劉青雲(ラウ・チンワン)はタイでの失敗で重傷を負い、神経質でだらしのないおじさんに落ちぶれる。それまで2人の言うことを聞くばかりで、やや従順な性格だった張家輝(ニック・チョン)は死の洗礼を受けた後、冷酷な男に変わってしまう。