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台湾作家が語る松本清張 「日本人の罪を暴く」 (3)

 推理小説は清張の道具だ。これほど多くの素晴らしい推理小説を書く事が出来たのは、構想だけに頼なかったからだ。清張の推理は犯罪の動機を探求するためであり、犯罪動機の詳述は社会の正義を明らかにするためだ。「清張革命」が革命後に本当に取り除いたものは、日本文化の「表層意識」であり、日本社会に習慣づいた「抑圧という現実からの逃避」だ。清張の小説は、日本人が引き続き不愉快な記憶や辛い立場、苦しい責任などありとあらゆるものを潜在意識の暗い片隅に追いやってしまうことを許さない。

 「清張革命」は、日本人に表向きは公明正大だが、夜になると泣くようなこそこそした真似をせず、「表裏一体の暮らし」をするよう呼び掛ける。清張の小説で描かれる犯罪はほとんど毎回、表と裏が違う人物によって引き起こされる。清張にとって、偽りや錯乱、責任逃れ、高潔な人格を装う見栄などは最大かつ最も恐ろしい罪悪なのだ。

 罪は隠蔽や粉飾、内幕を作ることから引き起こされる。しかし、人は推理する力、推理する好奇心を持っており、照合、検証、追求、調査確認といった手段で罪を暴くことができる。日本人は判然としない気持ちで清張の小説を読む。なぜなら読者は清張が自分たちを楽しませようとしているわけではないことを知っているからだ。清張が追求しているのは「正義のいたぶり」であり、痛め付けられる中で読者は自らの正義の概念を認知し、正義の原則を心に刻むことになる。

 推理能力を持たない、または推理能力が欠けている社会は当然のごとく多くの嘘やさらに多くの黒い霧を引き寄せる。これは今日の台湾にも当てはまる。われわれも「清張革命」を手本にして独自の推理の伝統を育て、さらには「清張革命」の歴史的視野を借りることで、人々の多くの嘘を見抜き、社会の黒い霧を払いのけたいものだ。(筆者 台湾著名作家 楊照/編集MZ)

 「人民網日本語版」2012年11月28日

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