◆国民の肥満と政府の関係
内閣府は2012年、高齢化社会に関する調査統計報告書を発表した。その内容は下記の通り。
2011年10月1日現在、日本の総人口は1億2780万人となった。そのうち65歳以上の高齢者は2975万人に達し、総人口の23.3%を占めた。また少子化および深刻な高齢化の推移に伴い、日本の65歳以上の高齢者が占める比率は、2060年に39.9%に達し、75歳以上は26.9%に達する見通しだ。つまり50年後の日本では、2.5人に1人が65歳以上の高齢者で、4人に1人が75歳以上の高齢者になるというわけだ。
上述した高齢者の人口統計の他に、内閣府が発表した同調査報告書は、日本の医療保険制度に基づき次のような計算を行った。2009年の1年間だけでも、日本政府の社会保障給付費は99兆8507億円に達し、日本人の所得の29.4%を占めた。この高額の社会保障給付費のうち、高齢者への給付費が68兆6422億円に達し、全体の68.7%を占めた。今後は日本社会の高齢者の増加に伴い、高齢者に給付される医療保障費も増加を続ける。日本の総人口に基づき計算すると、現在は20−64歳の労働人口の2.6人が1人の高齢者を扶養しているが、これが2060年になると1.2人が1人を扶養することになる。これは社会全体に莫大かつ深刻な負担をもたらし、日本の医療費負担に許容能力を上回る圧力をもたらすだろう。
そこで日本政府が考えついた、未来の医療費負担を解決する最も基本的で重要な方法は、国民の健康を維持し、長寿の品質を引き上げることだ。日本政府はこの目的により、21世紀から国民全体に対して、「健康日本21」と呼ばれる国民運動への参加を呼びかけている。
◆政府のダイエット国策に批判の声も
日本政府の「特定保健・特定保健指導」がスタートしてから、これを疑問視し批判する声が絶えず、同制度を「人権」と結びつける動きも見られるほどだ。厚生労働省は、「内臓脂肪検査の義務化を徹底することで、毎年2兆円の医療費を削減できる」と結論づけたが、日本の世論は、「毎年の内臓脂肪検査の義務化により、労力・物資の投入や設備追加などにより支出が増加する。この形だけの検査により資金の無駄遣いが生じ、財政赤字の原因の一つになる可能性がある」と見ている。
多くの人は同制度を、「机上の空論」としている。検診実施率と内臓脂肪減少の指導実施率を、軽率に数値化するべきではない。これらの強制的な罰則は、目標の達成を促せないばかりか、自治体・組合の財政不安を招く可能性がある。またこれによりサービスの品質が低下し、各種健康保険組合に加入した一般国民が、最終的に被害者になるというのだ。
国民の健康および将来的な財政負担の軽減のために、ダイエットを一つの制度として実施する。その立脚点は悪くなく、大変な気配りだと評価しても良いほどだ。しかし制度実施の結果は、満足できるものではない。2011年に内臓脂肪の義務検査を受けた人は45%のみとなった。残りの55%の検査を受けなかった人に対して、規定どおりに罰金を科すべきだろうか。仮にそうした場合、これほど多くの人が罰金を受けることにより、どのような悪い結果と新たな不安が生じるだろうか。同政策を制定した日本政府はこのジレンマに陥っている。(編集YF)
「人民網日本語版」2013年5月9日
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