一石三鳥を狙った安倍首相のモンゴル訪問 (2)
■北東アジアでの地位向上を望む
今回の訪問ではエネルギー協力以外に安全保障協力も強化すると日本側は表明した。
中国国際問題研究所の楊希雨氏は「6カ国協議参加国に加え、モンゴルは北東アジアの安全保障構造に不可欠な第7の国だ。日本はこの第7の国と安全保障協力関係を確立して、北東アジアの安全保障構造における地位と影響力を高めることを望んでいる」と指摘する。
日本はまた、ロシアとモンゴル、中国とモンゴルの間に「戦略のくさび」を打ち込んで、この地域におけるロシアと中国の安全保障協力・メカニズムを牽制することを企てている。
さらに安倍首相とアルタンホヤグ首相は会談で、米国を含む日蒙米事務レベル協議枠組みを構築し、政治や安全保障など幅広い分野で意見交換することで合意した。
■モンゴルを引き込んで中国を牽制するのは現実的でない
だが片手だけで拍手はできない。安倍首相のモンゴルに対する計画は一方的な願望なのか、それともすぐに呼応を得るものなのか。高氏は「経済面では後者寄り、安全保障面では恐らく前者寄りだ」と指摘。「モンゴルは地理的に中露という2つの強大な国家にはさまれている。このため国境を接しない『隣国』を求め続けてきた。モンゴルは以前、米国を求めたことがある。このため日本も積極的にモンゴルの第4の大きな隣国になろうとしている。この点から見て、双方の経済協力、つまりいわゆる戦略的パートナーシップ確立の可能性はやはりある。だがモンゴルは中国と多重の淵源関係にあり、対中依存度はやはり相当高い。結局のところ中国は巨大な存在であり、日本がモンゴルとの関係強化を通じて中国封じ込めを図るのは、ほぼ不可能だ」と述べた。(編集NA)
「人民網日本語版」2013年4月1日