自民党の安倍総裁は止瀉薬「アサコール」を活用できるか? (3)
「週刊!深読み『ニッポン』」第38回 ■公約実現は非常に困難
全てが順調にいって、12月16日投開票の総選挙で自民党が衆議院第1党になったが過半数には達しない場合、安倍氏は公明党または他の政党との連立によって過半数を確保する。安倍氏はその時には選挙公約を一つ一つ実行する必要がある。民主党のように無責任になることはできない。民主党は選挙公約を数多く掲げたが、ほぼどれも実行しなかった。だが公約に掲げなかった消費税率引き上げ法案は可決させた。
改憲には3分の2以上の賛成が必要で、4年間では達成困難だ。自衛隊を国防軍に改めるのは立法によって名称を変更するだけで、難しくはないはずだ。釣魚島への人員常駐については、隣国の申し入れが予想され、対外関係に新たな、さらに大きな変化が発生しうる。
中央銀行総裁、副総裁などの人事は国会の同意が必要だ。首相は大きな発言権を持ち、安倍氏の意向に沿った人物に交代させることは難しくない。だが無制限な円の増刷は、円安によって輸出を促進するかも知れないが、株式市場が11月下旬のように強気に転じるかどうかはなんとも言えない。欧州にはハンガリーの前例がある。ハンガリーは議会が中央銀行に紙幣の大量発行を指示して国債利率が上昇したが、これはEUの財政ルールへの違反であり、現在議会は指示を撤回し始めている。安倍氏もハンガリーと同じ道を歩むかもしれない。