北京、不動産のパニック買いムード 一夜で900万円上昇も (2)
■一夜で900万円値上がり
蔡さんは、寒風が吹き始めていた11月の週末のほとんどを不動産仲介業者のスタッフが運転するバイクの後ろで過ごしたという。最終的に北京市西城区鴨子橋路45号にある2LDKの物件を240万元(約3120万円)で購入した。同区は教育資源も豊富であるなど、立地条件が良く、約30坪の家が同価格なら「お買い得」と言える。しかし、同市の中心部から10キロ以上離れた場所でも不動産価格が1平方メートル当たり3万元(約39万円、1坪当たり約128万円)に高騰している昨今、この中心から数キロしか離れていない同区で、1平方メートル当たり約2万6千元(その他の費用込)ということは、必ずなにか問題があるということだ。
そう、蔡さんが購入した家の目の前には鉄道が通っており、生活や睡眠をある程度犠牲にしなければならないのだ。
11月、この団地の物件は3件売れたというが、「鉄道」が邪魔して、販売開始から半年たっても売れない物件があったという。そしてうち1件は、売り出し価格を割り、一度は230万元(約3千万円)程度で交渉が進んでいた。ところが、蔡さんにとっては予想だにしなかったことが起こった。
12月9日、蔡さんが仲介業者に購入の意向を伝える電話をしたところ、「この3件のうち、2件のオーナは売るのをやめた。もう1件も300万元(約3900万円)に跳ね上がった」と告げられた。
一夜のうちに、70万元(約900万円)も値上がりしたのだ。この「市内から数キロで交通も便利」を売りにした家は現在、インターネット上に「300万元」で売りに出されている。一夜にして「夢」をさらわれた蔡さん。同じ団地内で「230万元」で売り出されている家は今、2LDKではなく1LDKだ。