中国の80年代生まれの若者は懐古趣味=米メディア
米国のあるメディアは6月1日、中国の一人っ子政策が、思い出に浸るのが好きな若者を生み出したとする記事を掲載した。環球時報が報じた。
以下は同記事の主な内容。
北京市内には、80年代生まれの若者(以下、80後)だけを対象にした火鍋(中国の鍋料理)専門店があり、午後5時半になると、学校のチャイムが鳴る。店内に並べられているのは、なつかしい木製の学校の机で、メニューはテスト用紙。店内には「班長」以外のスタッフはいない。店長は、「誰かを拒絶するという意味ではなく、ただ、同じような経験を持つ人と思い出を共有したいだけ」とする。この独特の雰囲気に、なつかしい学生時代の音楽が流れると、女性客の一人(25)は、「涙が出そうになった」と語る。
最近の心理研究によると、孤独感に襲われたり、自身を失ったりした際、「思い出に浸る」ことが、心理的恒常性を維持するための対処機制になるとされている。中国の「80後」がそのいい例だ。中国で1979年より一人っ子政策が実施され、1世代目となった80後は、孤独感に襲われやすい。80後は中国が市場経済に移行した時代に成長し、無意識のうちに現代「開拓者」という使命がその肩に重くのしかかっている。仕事を政府から割り当てられていた80後の親の時代とは対照的に、80後は変動の大きい社会構造の中で、夢を追いかけることを期待されている。そして、就職や出世、不動産価格の高騰などの問題が大きなプレッシャーとなり、80後が「思い出に浸りたい」という気持ちにスイッチが入る。
中国の若者の姿を描いた「All Eyes East」の作者・Mary Bergstrom氏は、「急激な変化遂げる社会を前に呆然としているのは、中国の若者だけではない。しかし、今の時点で、消費主義や流行を求める空気がみなぎる中国で育った80後は、一般的な文化を通して、昔を懐かしむことに最も長けている」と指摘している。(編集KN)
「人民網日本語版」2013年6月4日