上海の連続銃殺事件、6人死亡4人負傷 金銭トラブルか
22日に上海市宝山区で、男が一晩で同僚や見張りの兵士など6人を次々に射殺した事件で、上海警察は23日夕方、逮捕された范容疑者と会社との間には、金銭をめぐるトラブルがあったことを明らかにした。北京晨報が報じた。
范容疑者の身柄確保までの過程で、負傷した4人には警察1人も含まれていた。負傷した4人のバイタルサイン(心拍数・呼吸数・血圧・体温など)は安定しており、医師らが全力で治療に当たっている。范容疑者は現在、法律に基づいて刑事拘留され、捜査が進められている。
6人犠牲4人が負傷
同区の警察が逮捕したのは化学工場「広裕精細化工」の事務所主任だった范容疑者で、1951年1月年生まれ。上海市の戸籍を有していた。事件当日、下請工場だった同工場の設備売却をめぐり、会社の登録者となっていた李社長や同僚の張さんらとトラブルとなり、范容疑者は自室に隠し持っていた散弾銃を持ちだして、張さんを殺害した。
その後、范容疑者は散弾銃を持ったまま、同市浦東区周浦鎮で無許可営業のタクシードライバー・卞さんを射殺。車を乗っ取り宝山区に戻った。そして、ある部隊駐屯地の門で監視をしていた兵士に向かって発砲。兵士1人が死亡、1人が負傷した。范容疑者は、兵士から拳銃を奪い、工場に向かった。
事件当日夜11時ごろ、范容疑者は工場に戻り、入口で李さんら3人を射殺、従業員2人を負傷させた。その後、工場に入った范容疑者を、現場で捜査に当たっていた警察官が発見。銃撃を受けたものの、身の危険も顧みずに范容疑者を地面に押さえつけ、拘束した。同過程で、警察1人が銃弾を受け、負傷した。
警察は現在も調査を進めている。
事件の発端は金銭トラブル
23日午前、事件が発生した同社を取材したところ、工場の入り口には、依然として警戒ロープが張られ、事件発生を聞いた多くの従業員が、情況を把握しようと押しかけていた。警戒ロープ近くの地面には、洗い流されたにもかかわらず、多くの血痕がはっきりと残っていた。工場の従業員らは、范容疑者と工場の責任者だった李社長の間には、以前からトラブルがあったことを明らかにした。
現場に駆けつけていた従業員によると、同工場の創業者は浙江省出身の李社長で、十数年前から営業。製薬や紡績に使われる化学製品を生産していた。しかし、工場は2年前から、経営不振に陥り、同工場を手放したくない李社長が、資産や株主の再編を行っていたところに、范という社長が登場。一連の会議を経て、株式の60%を李社長が、残りの40%を范社長が、それぞれ保有することになった。ただ、時間の余裕がない范社長は、その管理や運営をおじに当たる范容疑者に委託。范容疑者は事務所主任という立場となり、従業員からは「范主任」と呼ばれていたという。こうして、范容疑者は2011年6月から、同工場の管理や経営に当たっていた。范容疑者は、上海市浦東区出身で、同地にマイホームも所有している。