安倍首相の原発輸出 国内世論の非難が集中 (2)
日本にとって、インドの原発市場は10兆円弱の富を秘めた宝の山であり、何が何でも手放すわけにはいかない。米・仏・露・韓などはインドの原発市場の競争で先行しており、インドと原子力協定を締結している。しかし、日本の原発技術は米仏で建設された大型原子炉に幅広く導入されているため、日印が原子力協定を締結しなければ、米仏もインドへの原発および関連技術の輸出が実現しがたい。そのため米仏は共同の利益を鑑み、インドに「核兵器不拡散条約」(NPT)と「包括的核実験禁止条約」(CTBT)への加入を促すよう、日本を裏から支援する可能性がある。
また日本の一部メディアは、安全保障の意義および中国けん制の戦略的な考慮から、インドは日本にとって重要な存在だと指摘した。インドという「未来の大国」との関係強化は、日本経済に多くの利益をもたらすばかりでなく、日本のアジアにおける地位を高められるというのだ。
◆日本の原発輸出、課題が山積
しかし安倍首相の原発および関連技術の輸出に対する意欲は、日本国内の深い懸念を覆い隠すことはできない。
まず、原発再稼働により、日本は電力体制の改革のチャンスを失うことになる。一部の日本メディアは、福島原発事故による原発の全面的な稼働停止は、日本の電力産業と制度に改革のチャンスをもたらしたと指摘した。震災後2年余りに渡り、日本国内では高効率の火力発電および浮体式洋上風力発電の導入が試みられた。国が関連インフラの整備に大規模な投資を行えば、同様に電力産業と経済の成長を促せる。これとは反対に、政府が原発への回帰に固執するならば、腐敗した電力体制を打破できず、新たな電力産業を競争に参与させることもできない。既存の地方割拠の体制を維持すれば、日本の電力産業の自由競争は話にもならない。既得利権者の原発再稼働の呼び声ばかりに耳を傾ければ、改革のチャンスを失ってしまうだろう。
次に、核兵器不拡散の理念を前にして、自らの成果を放棄することは困難だ。朝日新聞は6月1日の記事で、「福島原発の問題は解決にはほど遠い。世界は日本がこの重大問題を処理するに当たり、どのような道を選択するかに注目している」と主張した。朝日新聞はまた、インドはNPTとCTBTに加入していないと、早くも指摘した。原子力供給国グループ(NSG、当時は日本などの45カ国が含まれた)は2008年、米国の圧力を受けてインドへの各技術の提供に同意し、米国のインドへの原発輸出に向けて「青信号」を出した。