米国のヘーゲル国防長官は5月31日、シンガポールで開かれたアジア安全保障会議で講演した際、米国のアジア太平洋回帰戦略を弁護し、米日安保条約の釣魚島(日本名・尖閣諸島)への適用を大声で叫び、日本の集団的自衛権の行使容認を支持したうえ、公然たるいわれなき対中批判に重点を置き、脅し的な言葉さえ各所で使用した。(文:張軍社・海軍軍事学術研究所研究員。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
ヘーゲル氏の無責任な発言について、中国人民解放軍の王冠中副総参謀長は「ヘーゲル氏の講演はアジア太平洋の不安定要素を煽動し、そそのかしてもめ事や騒動を引き起こす発言に満ちた、余りにも行き過ぎた講演であり、中国側の予想を遙かに超えていた。ヘーゲル氏は講演でいわれなく中国を批判したが、これは何の根拠もなく、全く筋が通らず、横暴、威嚇、脅しに満ちている」と指摘した。
近年米国はアジア太平洋地域における覇権的地位を維持し、アジア経済の急成長の恩恵にありつくため、「アジア太平洋回帰」「アジア太平洋転換」「アジア太平洋リバランス」など様々な名目の新アジア太平洋戦略を相次いでぶち上げ、アジア太平洋地域における軍事的プレゼンスを強化している。米国のいわゆる「アジア太平洋リバランス」戦略については、すでに多くの国々が懸念と反感を深め、米国内でも多くの戦略家が非難している。こうした状況の中、ヘーゲル氏が自らを反省しないばかりか、反対にいわれなき対中批判を行っても、全く同調のしようがない。
周知の通り、釣魚島(日本名・尖閣諸島)、西沙(英語名パラセル)諸島、中沙諸島、南沙(英語名スプラトリー)諸島は古来中国固有の領土であり、これには十分な歴史的根拠、法理上の根拠がある。だが、中国政府は地域の平和・安定を維持するため、一部の国による不当な要求と挑発を前に、極めて大きな自制と忍耐を続けてきた。釣魚島においても、黄岩島(スカボロー礁)においても、さらには係争の存在しない西沙諸島においても、中国は依然軍事的自制を保っている。それに対して、▽日本が航空自衛隊の戦闘機を釣魚島から遠く離れた東中国海上空に派遣して、非武装の中国の哨戒機を攪乱し、威嚇し続けているのだ。▽フィリピンが海軍軍艦を派遣して、寸鉄帯びぬ中国の漁師を攪乱し、威嚇しているのだ。▽ベトナムが大量の武装船を派遣し、中国の公船と漁船に衝突しているのだ。中国は今まで南沙海域で油井一つ掘ったことはない。ベトナムやフィリピンが中国の南沙海域ですでに長年石油や天然ガスを採掘しているのだ。ヘーゲル氏が地域の平和・安定維持に向けた中国のこうした努力や犠牲について見て見ぬふりをし、一方、事実を省みず、いわれなき対中批判を行うのは、一体どういう魂胆だ?