有人月面着陸計画はまだない中国だが、国内の科学者はすでに月面基地設立の準備を始めている。新華網が伝えた。
北京航空航天大学ではこのほど、若手研究者3人が、宇宙ステーションに似た閉鎖系の実験装置で2月3日から5月20日までの105日間にわたって生活した。
研究員はこの装置で、地上と異なる空気を吸い、循環処理された浄化水を飲み、自ら育てた穀物・野菜・果物・虫を食べた。太陽の光が遮断された環境で多くの科学実験を行い、家族や友人とはインターネットや電話だけで交流した。充実してはいるが、少し寂しい日々でもある。
▽「月宮」でイチゴ栽培
実験装置の正式名称は「宇宙基地生命保障人工閉鎖生態系地上総合実験装置」。舌をかみそうな名前である。
プロジェクトの首席科学者でチーフデザイナーを務める劉紅さんによると、「実用されるならまずは月面なので、『月宮1号』という通称もつけた」という。
この「月宮1号」では、生態系の原理に基づき、バイオ技術と工学制御技術を応用し、植物・動物・微生物からなる人工閉鎖生態系が構築されている。人類の生存に必要な空気や水、食物は、生態系内で循環再生され、地球に似た生態環境で人の生命を保障する。
すでに投入されている「月宮1号」の一期プロジェクト部分は、58平方メートルの植物キャビンと42平方メートルの生活キャビンからなり、3人の乗員の生命を保障できる。生活キャビンには、寝室と飲食交流室、衛生室、廃棄物処理室からなる。
劉さんによると、「月宮1号」建設で一番の難題は密封だった。装置全体には9つのドアがあり、さらにチューブや回路もはりめぐらされており、キャビンの壁面を密閉するのには長時間を要した。