核弾頭80発分に相当する640キログラムのプルトニウムが、国際原子力機関(IAEA)に日本が提出した報告から「蒸発」していた。日本政府は申告漏れで意図的なものではないとしているが、日本国内と国際社会からの疑いと不安はぬぐえていない。(人民日報「鐘声」国際論評)
核に対して熱心であると同時に敏感でもある日本で、こうした「意図的でない核の取り扱い」という事態が明らかになったことは注目に値する。この640キロのプルトニウムは、日本の報告から漏れただけのものなのか、それとも意図的に過小報告されたものなのか。
日本が問題性のある大量の核物質を保有しているという事実は今年年初から、世界の人々の心配のタネとなってきた。これらの核物質には、核兵器製造に直接使える兵器級プルトニウムや兵器級ウランも含まれる。注目すべきなのは、日本は長年にわたって核廃棄物からプルトニウムを抽出しており、上記の640キロを加えると、核兵器の生産に使えるプルトニウムをすでに45トン保有していることとなる。約5500個の核弾頭を生産できる計算だ。
使用済み核燃料の再処理をすることができる非核保有国は日本が唯一で、日本には世界最大の再処理工場がある。日本は、原子力の平和利用という名の下、核融合や高速増殖炉など先端の原子力技術の研究を進め、核融合実験装置や核融合原子炉を製造している。また民間用の原子力発電のためとして核燃料の大量の購入・貯蔵・精製も行っている。最近は、ウラン濃縮の「本土化」の歩みを進め、遠心分離法によるウラン濃縮工場とレーザー法によるウラン濃縮工場を新設し、ウラン原料の分離処理能力は年間1500トンに達している。
非核保有国では日本が最も多くの核物質を保有しており、その量は民間利用の需要をはるかに超えている。日本は数十年にわたって、「核弾頭の製造からドライバー1本の距離」と言われる技術レベルにある。同盟国である米国でさえ、日本の核武装を防ぐことを外交の要点としているという。