この研究により、パンダが低いエネルギー代謝率を維持するメカニズムが明らかになった。パンダの長期的な進化の過程において、形態、行為、生理、遺伝、ゲノムなどに適応性の変化が生じた。動物園で見たことがある人ならば、パンダは怠け者で活動を好まないことを知っているだろう。パンダは活動量を減らすことで、エネルギーを節約しているのだ。研究者が野生のパンダにGPS首輪を装着したところ、野生のパンダが毎日半分以上の時間を休憩に使っていることが分かった。1時間の移動距離も平均でわずか20メートル余りで、多くのエネルギーを節約できる。
エネルギー代謝を調節する甲状腺ホルモンの量が少ないことも、パンダの低エネルギー代謝率の秘密を解き明かす鍵となっている。研究者はパンダのゲノムから、甲状腺ホルモンの合成を調節する重要ゲノム(DUOX2)の突然変異を発見した。これはパンダの甲状腺ホルモンの少ない理由かもしれない。ヒトとラットの場合、この突然変異によって甲状腺機能が低下する。
エネルギー代謝率が低いことで、パンダがいかに一定の体温を維持するのかという問題が生じる。パンダの毛皮は非常に分厚く、体内の熱を留めやすく、そのため体表面の温度が低いことが分かっている。サーモグラフィの測定結果によると、パンダの体表面の温度は、同じく白黒の模様を持つシマウマやダルメシアンより低めとなっている。(編集YF)
「人民網日本語版」2015年7月14日