中仏両国政府の友好協力や関係者の努力が実り、中国から海外に流出して20年以上になる春秋時代(紀元前770年-紀元前403年)の秦国の純金の文化財32点が中国に返還された。中国文物局は14日、記者会見を開催し、32点を保管することになった甘粛省博物館で、20日から返還を記念する特別展示会を開催することを明らかにした。央広網が「央広新聞」の報道を引用して報じた。
今回返還されたのは、甘粛省礼県の大堡子山遺跡から、盗掘されていた文化財。秦朝(紀元前221-206)初期の文化を研究する貴重な資料で、芸術的かつ科学的価値がある。
それらの文化財は、盗掘が多発していた1990年代に盗掘され、海外に流出。フランス人コレクターフランソワ・アンリ・ピノー氏が購入し、フランスのギメ美術館に寄贈していた。
実は、外交ルートを通じて、返還されるまでには、長い道のりがあった。
文物局は当初、フランスなどの文化財を管理している当局に書簡を送り返還を求めた。同局の宋新潮副局長によると、「当時はどんな反応があるか様子を見る程度」だった。フランスは比較的ポジティブな反応で、2010年に、当時の大統領・ジャック・シラク氏が関連のイベントに参加した際、文物局が関係者に働きかけて、返還を実現して欲しいと求めると、シラク氏は前向きな返答をしてくれた。
その後、宋副局長が再びシラク氏と面会した際、秦時代の新たな考古学発見に触れ、その文化的意義を紹介した。その後、14年になり、中国は外交ルートを通じて、フランスに返還を求めたところ、フランス政府がそれに応じた。そして同年7月、両国が共同で専門家を大堡子山に派遣し調査、分析を実施。最終的にギメ美術館で保管されていた金製の文化財が返還される運びとなった。ただ、フランスの法律は、国有資産を譲渡してはならないと規定しているのが問題となった。
法律や国際公約に抵触せずに返還するため、フランス政府は、ギメ美術館がまず文化財4点をピノー氏に返還し、ピノー氏が駐フランス中国大使を通して、無償で中国に返還するという手続きが取られた。また別のコレクターChristian Humann氏も、文化財28点を、宋副局長を通して、同局に返還した。宋副局長は、「今回の返還は、中国とフランスの政府や民間の関係者が積極的に協力した結果」と強調している。
宋副局長によると、海外に流失した文化財81点が、英国やベルギー、日本、米国、台湾、香港などにある。その一部は、民間の博物館や個人コレクターが所有している。同局は、今後もそれら文化財の返還実現のために力を注ぐ。(編集KN)
「人民網日本語版」2015年7月15日