年初以来、北京市の工業用電力消費量、鉄道貨物輸送量といった工業の総合エネルギー消費量が大幅に減少している。だが北京は中国の科学技術イノベーションの中心であり、経済の活力が減退していないばかりか、その温度が持続的に上昇している。実際に、第3次産業は北京の国内総生産(GDP)の75%を占め、中でもハイテク産業の占める割合が高い。伝統的産業の運営状況をはかる実物指数の成長ペースで今の北京の経済成長を予測し判断するのは正確でないことは明らかだ。人民日報が伝えた。
北京のケースには中国の経済構造に重大な変化が生じたことが反映されている。実物指数と経済成長との関係もこうした変化にともなって変わっている。
サービス業は今や中国のGDPのほぼ半分を占める。2015年上半期の対GDP比は49.5%で、07年に比べて6.6ポイント上昇した。サービス業のGDP1万元(1元は約18.9円)あたり電力消費量は工業の15%ほどで、物質の原材料の投入規模と実物の生産規模は第2次産業をはるかに下回り、輸送需要も大幅に低下している。
医薬品製造業、電子・通信設備製造業などのハイテク産業が中国の工業に占める割合も大幅に上昇しており、これら産業には低エネルギー消費、高付加価値といった特徴がある。こうした構造調整が単位あたり電力消費量の持続的低下を招き、電力需要と貨物輸送需要の伸びを直接引き下げることは確実だ。
電力消費量と貨物輸送量といったいくつかの実物量の指標と経済成長ペースとの弾力的な関係だけをみて、現在の中国経済の成長ペースが全体として「水増しされた」と結論づけるのは確実ではない。