ファッションやレストラン、オフィスやホテルなどが集まる北京市朝陽区の三里屯エリアに、日本人経営のフラワーショップがある。店内の一角では、週に3回、中国人や日本人を対象にしたフラワーアレンジメント教室が開かれている。今回は、この教室の講師で、日本フラワーデザイン協会講師の片倉鳳美さんをご紹介したい。
「植物から得られるエネルギーは国籍を問わない。中国にはお花の文化というのがあまりない気がしていたので、日本で学んだお花の技術をより多くの中国人とも分かち合いたい」。そう夢を語るのは、日本フラワーデザイン協会講師で、北京でフラワーアレンジメント教室を開く片倉鳳美さんだ。
教室開講当初、かつて中国語通訳経験者として活躍していた片倉さんにとって言葉の壁はさほど大きな問題にはならなかったものの、両国に横たわる文化や習慣の違いは、片倉さんにとって悩みの種となった。「日本人の生徒は私の言った通りにきっちりと作業を進め、その過程を楽しんでくれるが、中国の方、特に若い方は自己主張が強く、今日はラウンド(円形)の作品を練習すると言っているのに、他人と同じことはしたくないと、全然要求と違う作品を作っていたりする。どうすれば伝わるのか、困ったことがよくあった」。片倉さんは「私はこうしたい」という思いをストレートにぶつけてくる中国の若者に対し、それを全部跳ね返してしまうのではなく、少しづつ受け入れ、お互いに歩み寄りながら教室を進めていった。