日本の衆議院平和安全法制特別委員会で15日、集団的自衛権の行使を可能にすることなどを盛り込んだ安全保障関連法案(安保法案)の採決が行われ、自民・公明両党の賛成多数で可決された。衆議院で多数の議席を占める与党はさらに16日、衆院本会議での強行採決の末、安保法案を可決、参院に送付した。このまま行けば、参院に送付した後60日経っても採決出来ない場合、衆院の3分の2以上の賛成で再可決が可能となる「60日ルール」が適用できる。そうなれば、安倍首相のシナリオどおりに事は進み、9月27日の国会会期末までに安保法案が成立することになる。(文・厖中鵬、中国社会科学院日本研究所副研究員)
安保法案の成立がほぼ確実となった今、国際社会と世論(日本国内も含む)はひとつの重要な問題に注目している。国会のいわゆる「立法権限」を受けて集団的自衛権を行使できるようになった安倍内閣は、今後「軍備増強」の旗を掲げつつ、日本をどのような国家にしていくつもりなのだろう?未来の日本は、「平和憲法」の下の日本であり続けるのだろうか?それとも「封印を解かれた悪魔」になるのだろうか?
まず、安保法案が成立した後の日本は、以下のような状況に直面することになる。
・日本周辺および世界の某地域で、米軍あるいは日本の安全・利益を脅かす突発的事件が起こった場合、軍需企業は生産設備を急ぎ稼動させ、航空機や軍艦、その他の軍需品など先進兵器を大量生産し、自衛隊が海外に駆けつけるために必要な軍備を提供する。
・戦時の突発事態への対処能力を高めるため、自衛隊は頻繁に米軍など西側諸国の軍事演習に参加するようになる。
・米軍が襲撃を受けた場合、もしくは米軍が局地的な戦争を始める場合、自衛隊は集団的自衛権を行使して迅速に出動し、米軍と共に戦闘に参加する。
・米国と日本が共に密接な関係を持つ第三国が緊急事態に陥った場合、自衛隊は集団的自衛権を行使して、第三国の支援に駆けつけることができる。
・米軍が世界のどこかで軍事作戦を発動し、兵士が死傷した場合、兵士の不足を補うため、日本が国内で青年を大量に徴兵し、戦場に送り込む。
これらの近い将来、あるいは遠い将来のビジョンによって、直接打撃を受けるのは日本の一般市民、特に若い世代だ。将来、日本が突発的な事件に遭遇し、既存の自衛隊の規模ではこれに対応仕切れない場合は、必然的に兵士を増員することになるだろう。