米国の軍艦「ラッセン」が27日、中国政府の許可を得ぬまま、中国の南沙(英語名スプラトリー)諸島の島・礁近隣海域に不法に進入した。中国側は法にのっとり米艦に対して追跡、監視、警告を行った。(文:蘇暁暉・中国国際問題研究院国際戦略研究所副所長。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
米国の行動は早くから下準備されており、前々から企てられていたものだと言える。早くも今年5月、米メディアは米軍が中国の埋め立て行為に「挑戦」するとの情報を報道。カーター国防長官にいたっては、中国の島・礁上空を航空機で飛行し、関係海域に艦船を派遣する必要性を明確に表明した。9月に入ると米軍は南中国海問題にしきりに口出しをし、中国の南沙諸島の12カイリ内に軍艦を派遣するとわめきたてた。長年にわたり、米側はフィリピンなどが南中国海でもめ事を引き起こすのには見て見ぬふりをする一方で、何かというと中国の主権権益に疑問を呈してきた。特に最近では、中国の島・礁建設を軍事目的として繰り返し非難してきた。今回の米軍艦の南中国海での行動によって、米国は南中国海問題において舞台裏から表舞台へと出てきた。その背景に戦略的考慮があることは間違いない。
第1に、米国は南中国海での中国の権益維持に不快感を覚え、接近偵察を含め南中国海で自国の行動が制限されることを懸念している。したがって米国は故意に緊張を作り出し、南中国海での中国の正常な権益維持行動と建設活動を妨害する必要がある。
第2に、「アジア太平洋リバランス」戦略の実施に寄与する。地域における軍事的プレゼンスの強化は米国の地域戦略の重要な一部であり、南中国海の緊張によって米国は筋道を通して投入を増加することができる。