ネット通販の祭典「ダブル11」期間中は、配達員にとって最も忙しい時期だ。四川大学望江キャンパス(四川省成都市)内に、ある特別な配達員がいる。5歳の時に高圧線で右腕を切断し、左腕だけの生活を余儀なくされている。成都市出身の鐘貴平さん(41)だ。彼を知る四川大生は「片腕の速達兄貴」と呼ぶ。11年来配達業に従事し、熱心で丁寧なサービスを提供することから、鐘さんにマイナス評価がつくことは通年皆無だ。
「ダブル11」が盛り上がりを見せるようになってからは、毎年11月が鐘さんの収入ピークだ。普段は1日100件ほどの配達物も、この期間は2倍から3倍に膨れ上がる。昨年11月は1日に400件、約3トンの配達物を配送し、同月の収入は3万元(約58万円)近くにのぼった。「朝9時から夜12時まで働き、家に着くとそのまま倒れ込むように眠る」日々が続いた。