しばらく前に開かれたASEANサミットで、日本の安倍晋三首相は、日本が発展途上国向けの円借款の条件を緩和する方針であることを明らかにした。借入国政府による担保が必要としていた制限を撤廃し、借款手続にかかる時間を大幅に短縮する。国際商報が伝えた。
円借款は、日本が国際的な影響力を維持し、製品や技術の輸出を推進する重要な手段となってきた。だが中国など新興市場国の経済力の高まりにつれ、円借款のこうした効果は減退している。安倍首相の今回の措置は、円借款の魅力を高めるねらいがあるだけでなく、その裏には別の目的も隠されている。
▽強いられた変革
今回の円借款条件緩和がもしも順調に実行されれば、円借款政策の大きな動きとなることは間違いない。日本政府関係者の言葉を借りれば、「円借款が1958年に実施されて以来の最大の改革」となる。日本はこれで、関連する法律や条例を改正し、収益を上げられる投融資環境を日本政府所属の国際協力銀行に作り出し、日本企業の海外市場開拓を支援することができるようになる。
南開大学日本研究院客員研究員の劉雲氏は、日本による円借款条件緩和の内容としては主に次の3つが挙げられると指摘する。第一に、一定のリスクを持った借款の比率の拡大。第二に、ドル借款の緩和。第三に、借款手続の簡素化。
こうした変革は、アジアインフラ投資銀行(AIIB)からもたらされた圧力によるものだという。日本では、中国が各国のニーズに応じて打ち出したAIIBや「1ベルト、1ロード」(シルクロード経済ベルト、21世紀海上シルクロード)の建設などが、円借款の求心力を引き下げていると考えられている。日本はこれまで、各国に円借款を提供することを通じて地域内での影響力を維持し、日本の製品と技術の輸出をリードしてきた。だがそうした影響は徐々に弱まりつつある。