中国外貨取引センター(CFETS)はこのほど、「CFETS人民元為替レート指数」を初めて発表した。これに関し、市場では様々な憶測が飛んでおり、「これによって人民元の対米ドルレートの下落の余地が広がるのでは」とする分析もある。新華網が伝えた。
これに対し、中国人民銀行(中央銀行)は14日、公式サイトに「中国貨幣網」の特約評論員による以下のような文章を掲載した。
人民元為替レート指数の発表により、人民元の下落が進むという見方もある。市場のこうした反応は、これまで市場が人民元の対米ドル為替相場にばかり注目し、それに基づいた評価基準や行動方式が根深く形成されていることの表れだ。中長期的なファンダメンタルズを見ると、人民元相場は合理的かつバランスの取れた水準で基本的な安定を保つ条件を備えている。
単一通貨のみに対する人民元相場の基本的な安定を保つ場合、レートがゆがみ、バランスが崩れる可能性がある。これは外部からの衝撃に耐える経済の柔軟性を増強するのに不利だ。このため、2005年の為替制度改革の初期に、中国は通貨バスケットを参照した管理変動相場制度を導入した。ただ、市場がこのような視点に適応するのにはある程度の時間がかかる。
総合性の強い市場主体はこれまでも、外貨取引において通貨バスケットの要素を考慮していたが、今もなお多くの機関が簡略化のため米ドルを主に参考にしている。今後、市場主体は米ドルにばかり注目するのではなく、通貨バスケットを参考にすべきだ。
短期的にみると、人民元の通貨バスケット制への調整の効果はすでに表れている。単一通貨を参考にする相場制だと、各国の経済周期における位置づけの違いが大きく反映される。為替レート指数はこれを加重平均するもので、より全面的に通貨の価値の変化を反映できる。
中国経済の成長率は今、高速から中高速へとギアチェンジしたが、世界を見渡すと依然として高い水準に属する。また、中国はある程度の規模の貿易黒字を維持している。さらに、人民元が特別引出権(SDR)に採用された後、国外の主体が保有する人民元資産の規模が徐々に増加し、人民元相場を観察する新たなロジックが徐々に確立されつつある。最後に、中国の外貨準備は十分にあり、財政状況も良好で、金融体系も安定している。中長期的なファンダメンタルズを見ると、人民元相場は合理的かつバランスの取れた水準で基本的な安定を保つ条件を備えている。(編集SN)
「人民網日本語版」2015年12月16日