展開させた「脱出滑り台」
すでに70歳の発明者周妙栄さんは階段の装置を指さしながら、「この装置を作動させると、ドミノ方式による機械の連動によって、弯曲溝が自動的に上から下りてきて、直線溝と合体する」と説明してくれたが、彼が言い終わらないうちに案の定、「ドカン」という音と共に弯曲溝が下りてきた。「現在、少し大きな音がするが、緩衝装置を加えれば、音を小さくすることができる」と、周さんは続ける。
のちに筆者が滑り台に座り、「両足を揃えて立て、両手を交差して胸の前に置き、身体をリラックスさせて」というスタッフの指導のもと、懸命に姿勢を調整し適切な体勢にすると勢いに乗って滑り始めた、滑り降りる間、曲がり角に来るたびに速度が落ちるような感じがしたが、終始自然に滑走している状態であり、ちょうど子供の頃の滑り台で遊んでいるような感覚である。リラックスして身体を平らにすると、滑走速度が最も速まり、怖いと感じるなら、両足を少し溝に接触させると滑走速度を減速させることができる。
無事に一階に到着したあと、何度も曲がり角を回ったことで少し目が回った以外には違和感は何もなかった。
周さんは、「現在、各階の通過時間は3~5秒で設計されており、もし1階を最速の3秒で通過するとして計算すると、30階の高さから1階の地面までたった90秒で到着可能だ。ここの団地の26階の高層住宅からだと、より短い時間で済む可能性もある」と話す。