報道によると、4日に始まった米比の2016年度「バリカタン」合同軍事演習は、規模こそ昨年と変わりないが、注目すべきは、今年の演習は「離島奪還演習」を含む内容が突出し、挑発的意味合いが際立っているということだ。(文:海軍軍事学術研究所研究員・張軍社。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)。
この類の軍事演習は、米国が推進する南中国海の「軍事化」の「三部曲」の1つだ。近年米軍が単独または他国と行う南中国海での軍事演習の規模はますます拡大しており、手法も多様化し、場所も敏感な地域へと近づき、その内容も挑発的なものが増えてきている。オーストラリアも今年初めて「バリカタン」の実戦演習に参加し、日本もオブザーバーでは満足できずに定期的な「バリカタン」参加を求めている。「バリカタン」副司令官が明かしたところによると、演習はフィリピンが外国軍によって占領された島嶼の奪還を想定しているという。
「三部曲」の2つ目は、艦隊を出動させての高頻度の南中国海巡回である。米「ニューヨークタイムズ」紙が米海軍高官の話しとして伝えたところによると、米国は過去1年間に南中国海で700回以上、毎日ほぼ2回の頻度で巡回を行っており、この数は決して少ないとは言えない。この中には当然米海軍駆逐艦「ラッセン」が昨年10月に中国の南沙諸島近くの海域を航行し、「力」によって示したいわゆる「航行の自由作戦」を含んでいる。
「三部曲」の3つ目は、南中国海地域での軍事力を増強させていることだ。米軍は1992年のフィリピン撤退の後、近年再び「訪問軍協定」や「米比防衛協力強化協定」を通じてフィリピンで輪番制による駐留や軍艦の港湾訪問、兵力の事前配備を含む長期的な兵力滞在を実現させた。3月18日、米軍はさらにフィリピンの5ヶ所の軍事基地の使用権を獲得。2013年からはシンガポールに沿海域戦闘艦を配備し、頻繁に南中国海の偵察巡回を行っている。これら米国の南中国海における「軍事化」の「三部曲」が南中国海情勢を緊迫化させる主な要因であることは明確である。