(2)人民元国際化の通貨政策に対する負の波及効果を弱める
為替市場は通貨政策の自主性の向上、国際収支の自動調整メカニズムの発揮に立脚しなければならず、相場の基本的な安定を維持すると同時に、市場の需給を基礎とし、双方向に 変動し、柔軟性を持つ為替相場メカニズムを徐々に形成しなければならない。このためには市場化された人民元レート形成メカニズムをより一層完備し、人民元の双方向の変動の柔軟性を高めなければならない。理論的には、資本項目における兌換の自由化が完全に実現していない国では、通貨政策の相対的な独立性を維持することができる。逆に資本項目における兌換が自由化すれば、その国の通貨政策は外部からの衝撃や他国の通貨政策の影響を受けるようになり、通貨政策に対しても負の波及効果が及ぶ可能性がある。人民元国際化が進むに伴い、為替市場の発展促進、人民元の流出・還流のルート拡大、資本流動と為替レート水準の安定、資本流出の圧力低減、通貨切り下げリスクの防止といった問題に関しては、人民銀行が通貨政策の柔軟性と慎重性を把握する必要がある。
(3)金融革新ツールが通貨政策の調整能力を高める
2014年以降、外国為替資金残高のヘッジは中国人民銀行がベースマネーを発行する主な根拠ではなくなった。これは主に、こうしたやり方では通貨増加の需要を満たせなくなったからである。同時に、人民銀行の通貨政策ツールも絶えず革新されており、市場の流動性増加の手段が増えたこともある。中国の国債の規模が絶えず拡大し、マネーマーケットがますます成熟するにつれ、人民銀行の公開市場操作に必要な満期前の債券が大量に存在するようになり、様々な政策ツール創設の可能性が増えた。近年、公開市場操作は通貨政策操作の最も重要なツールになりつつある。公開市場操作、再融資、再割引およびSLO、SLFといった流動性ツールの革新と頻繁な使用に伴い、人民銀行の短期的な市場調整、重要ポイントにおける流動性調整、マネーマーケットの金利変動緩和の能力もますます高まるとみられる。(編集SN)
「人民網日本語版」2016年5月17日