米国のオバマ大統領はこのほどベトナムと日本を訪問し、「アジア太平洋リバランス」戦略を力強く推し進めて、幅広く注目された。西側メディアにはこの戦略に拍手喝采し、「米国には中国が懸念する近隣国とより強固な同盟関係を築く能力がある」と主張するものすらある。(文:蘇暁暉・中国国際問題研究院国際戦略研究所副所長。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
「アジア太平洋リバランス」はオバマ政権の外交政策において最重点のものだ。デザインから見ると、同戦略は3つの点からなり、これは今回のアジア歴訪でも終始貫かれた。
第1に、アジア太平洋地域における軍事的プレゼンスとともに、地域の安全保障問題への介入能力を高める。ベトナム訪問時には安全保障・防衛協力の強化を含む共同声明を発表。米政府はベトナムに対する武器禁輸措置の全面解除を決定するとともに、ベトナムの海上能力強化への支援を約束した。「米軍がカムラン湾に戻る」は、米越が真剣に検討する重要議題の1つだ。
第2に、アジア太平洋地域の経済秩序への影響力、掌握能力を追求する。「環太平洋パートナーシップ協定」(TPP)は米国にとって重要な取っ掛かりであり、越日も参加している。オバマ大統領はベトナム訪問時にベトナムの経済成長、雇用などへのTPPのメリットを強調するとともに、技術、能力開発面でベトナムへの支援を約束した。このいわゆる「高水準」の協定の早期批准と全面的履行をベトナムに促すためだ。
第3に、アジア太平洋の国々との意思疎通・協力能力を高める。米国は日本など伝統的同盟国との関係推進に尽力し、同盟システムを強固なものにしている。オバマ大統領は日本側の求めに応じて慣例を破り、現職の米大統領として初めて広島を訪問した。これは日本に良い顔を見せ、同盟関係を強化する考えが大きい。また、米国は地域の国々とのパートナーシップ構築、関係のネットワーク構築も重視している。米越は政治・外交面の結びつきを強化するとともに、外相と国防相の参加する「2プラス2」会談を行ない、「包括的パートナーシップ」を一層発展させる考えを明確にした。