米国財務省がこのほど発表した最新の統計データによると、中国は今年4月、保有する米国債のうち18億ドル(1ドルは約104.6円)を売却したが、引き続き米国最大の債権国となっている。4月末時点の中国の米国債保有残高は1兆2428億ドルだったという。「証券日報」が伝えた。
国務院発展研究センター世界発展研究所の丁一凡研究員は、「米国債を売却したのは、投資の多様化を実現するのが目的だ。米国は長年にわたってマイナス金利政策を実施し、国債の投資収益率が低水準になっている。資産の価値を保全するために、中国がここ数年、米国債を売却してきたのは当然のことだ。だが中国の国債保有量は巨大であり、中国は今後も長期にわたって、米国最大の債権国であり続けるだろう」と話す。
中国国際経済交流センター情報部の王軍副部長は、「全体としてみると、目下、各国の通貨当局は引き続いて米ドル資産を好む傾向にあり、米国債の収益率も上昇している。ユーロ、日本円、英ポンドに比べ、米ドル資産が保全に関して優位であることは明らかだ」と話す。
中国交通銀行の連平チーフエコノミストは、「中国は4月に米国債を売却したが、金額はそれほど多くなく、中国の米国債保有状況に目立った状況の変化はない。中国が米国債を売却したのは取引上のニーズ、ポジションをめぐるニーズ、満期といった要因の影響によるものだ」と説明する。
中国人民銀行(中欧銀行)はこのほど、米ドルと国際通貨基金(IMF)の特別引出権(SDR)を報告通貨とする外貨準備データを発表することを明らかにした。丁研究員はこれについて、「こうした変化は価格計算方法の変化に過ぎない。これまでもっぱら米ドルを用いて計算していた外貨準備データは米ドルレートの上下に影響されるため、額面上の変動が大きくなりがちだった。SDRで計算した外貨準備データは資本の流出・流入に対する市場の一面的な結論の影響を回避することができる上、外貨準備の総合的な価値をよりよく反映することができるものだ」との見方を示す。(編集KS)
「人民網日本語版」2016年6月20日