北京大学、清華大学、カナダのマギル大学などの学者でつくる国際チームは5日、英科学誌ネイチャー・ジオサイエンス(電子版)に報告書を掲載し、東アジアの多くの国の汚染物「煙霧質」による気候への影響は、先進国の消費行為との間に高い関連性を持つとした。この影響が国際貿易により、製品の消費国から生産国に移るからだ。新華網が伝えた。
研究チームによると、消費財に必要な生産・物流・発電などの経済活動により多くの汚染物質が排出されるため、気候と環境に影響が生じる。これらの汚染物により、多くの固体粒子と水滴が大気中に分散する。これは「煙霧質」と呼ばれる。
同報告書の執筆者の一人、北京大学物理学院大気・海洋科学学部の林金泰准教授は、新華社の取材に応じた際に「これらの汚染物の煙霧質は太陽放射の吸収と散乱、雲と降雨との相互作用といった手段により、気候システムのエネルギーバランスを変え、気候の変化に影響を及ぼす。これはいわゆる放射強制だ」と説明した。
チームは世界11地域のサービス・製品生産と関連する煙霧質の排出量を見積もり、生産関連の排出と消費関連の排出による気候への影響を比較した。
その結果、中国を含む東アジアは汚染物質を大量排出する製品の輸出地域であり、生産による放射強制が消費による放射強制を大きく上回っている。汚染物質を大量排出する製品の輸入地域(西欧、北米、日本・韓国・豪州・ニュージーランドといったアジア太平洋の経済協力開発機構加入国)では、正反対の状況が見られる。
林氏は、これは放射強制が先進国から発展途上国に移ったことを示していると述べた。研究チームは、大気汚染物質の世界的な移動と気候・環境への影響は、生産活動と関連するほか、世界の消費行為との間に密接なつながりを持つと判断した。林氏は関連問題への対応について「各国との貿易・環境面の理解と協力を促進していきたい」と述べた。(編集YF)
「人民網日本語版」2016年9月7日
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