幼少の頃から音楽を趣味としており、派遣前から、どうしても音楽と環境をコラボさせた活動を行いたいという思いがありました。なぜなら、私の中には「正しいより楽しい」という軸があるから。環境問題は、政府やお金の問題が少なからずとも絡む、難しい問題です。それを正面から伝えても、うまく伝わらない、ならば楽しみながら学んでもらおうと理想を描いていました。
そんな思いを抱いて赴任した北京。中国で最も古く、最も大きい環境保護NGOである「自然の友」に赴任した私は、既に豊富な日本の知識見聞に囲まれながら、ただの助っ人で2年間終えるのか…と、自分の存在価値を悩みつつも、音楽と環境問題のコラボができないかと考えながら、初めの1、2ヶ月を過ごしました。
そんな幸先の良くないスタートを切ったある日、隣の席の同僚から調べものを頼まれました。内容は、日本のマラソン大会における環境保護活動について教えて欲しいというものでした。同僚は昨年立ち上がったばかりの零废弃赛事(ごみゼロ大会)チームのリーダーを務めており、スポーツ大会でのごみ分別やごみの削減に取り組んでいます。日本のマラソン大会を調べる中、ふと頭をよぎったのが「音楽イベントでも同様のことが出来ないだろうか」という発想でした。スポーツ大会における環境保護活動は、一般の講演会と異なり、環境問題に興味のない人にも発信できる良い機会です。そして、それは音楽でも同様のことが可能ですし、中国では未開拓の領域だったのです。
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