第3の原因は、日本がTPPから大きなメリットを受けるということだ。日米自由貿易協定(FTA)をみると、両国は交渉に数十年の歳月を費やしたが、成果を上げられずにいる。TPPでは日本の「重要5品目」について、米国が大幅に譲歩しており、日本のメリットの方が大きい。日本は目下進行中の二国間FTA交渉は、日本にTPPほどの利益をもたらさないと考えている。
第4の原因は、安倍首相が根っこの所ではトランプ氏を評価していないことだ。安倍首相はトランプ氏に逆らわず恭順の態度を示し、表面的には二人は非常に仲良くみえる。だが安倍首相は全力でTPPを死守しようとしており、ここから腹の中ではトランプ政権を評価していないことがわかる。この時期をなんとかやり過ごせば、TPPは息を吹き返して復活すると考えているのだ。
こうして安倍首相は自らの「呼びかけ力」と「指導力」に自信をもつようになった。今年5月には、日本をはじめとする11ヶ国が今月のAPEC開催に合わせて合意文書をとりまとめることを決めた。日本はこのほど、TPPは「大筋合意」したと発表したが、カナダはきっぱりと否定した。さまざまな動きからわかることは、TPP11交渉の行く手は茨の道であり、矛盾が積み重なり、重大な飛躍を遂げられる見通しは立たないということだ。
TPP11交渉にはいくつかの争点がある。
第1の争点は、早期決着と時間をかけた決着とのせめぎあいだ。日本は時間がかかるほどマイナス要素が増えることを懸念し、TPP交渉の熱の冷めないうちに、鉄は熱いうちに打てとばかり、半年以内にTPP11交渉をまとめる目標を確定した。だが現実はそううまくいかず、希望は泡のように消えた。カナダは急ぐ必要はなく、「包括的で先進的な」「自国と世界にとって有益な合意」に到達することが重要であると考えた。
このウェブサイトの著作権は人民日報社にあります。
掲載された記事、写真の無断転載を禁じます。
Tel:日本(03)3449-8257
Mail:japan@people.cn