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中国SF産業の目指すべき道  劉慈欣「政府のサポート強化で発展を促進」

人民網日本語版 2017年11月16日09:23

中国のSF作家・劉慈欣の長編小説「三体」は世界的なSF文学賞のヒューゴー賞、中国のSF界で最も権威ある銀河賞特別賞を受賞した。そのため中国SF大会の会場では、数多くのSFファンが劉慈欣のサインを求めていた。光明日報が伝えた。

劉慈欣は、自身がエンジニアからSF作家に転身した理由について、「当時、星空や夜空を眺めているときに、初めて神秘的な雰囲気を感じた。もしかしたら普通の人の感覚とはちょっと違うのかもしれないが、目の前に広がる星空は常に神秘的な色彩を放ち、月日が経つにつれ、その神秘的な色合いが増し、SF小説創作を駆り立てた最初の活力となった」とした。

また、劉慈欣は、「社会科学に基づく自由奔放なソフトSFに対し、ハードSFは科学の核心的部分や根拠ある想像力に重きを置いている。現代テクノロジーが急速に進歩するにつれ、科学の進歩は徐々に我々が想像に追いついてきており、『描いた未来がもう現実のものに』という考えまで出てきている」とし、「SF小説の特徴は、小説で描かれた奇跡が現実のものとなった瞬間、その奇跡はありきたりなものとなってしまう点だ。実際、我々の周りに存在した多くのSF要素はすでに現実的なものとなった」と指摘した。

劉慈欣は、「三体」という小説はこれまで目立たない存在だった中国のSF作品を人々の目に触れさせるようにしただけにすぎないとし、同小説の成功は中国SF産業の成功の証明だと評価するのがまだ話が早いし、自分が成功したとも言えないとしている。また、劉慈欣は中国のSF産業について、「以前から、中国のSF産業はずっと劣勢な状態にあった。現時点で、中国全土において一定の影響力を有し、長期にわたって作品を書き続けるSF作家は30人にも満たない。中国のSF産業はその厚い壁を突き破るため、これから長い道のりを歩んでいく必要がある」と語った。

中国のSF産業はまだ初期段階にあるため、最も多くの一般市民が触れるのは、SF系雑誌やSFドラマ・映画作品となっている。これについて、劉慈欣は、「SF産業が携わる分野は多く、出版、映画・ドラマ、ゲーム、テーマパークなど多岐にわたる。作品の質や読者の数など、あまり満足のいく結果にはならない。多数のSF長編小説のように、売り上げが良くても5-10万部程度で、悪いときはたった数千部。このような市場では、優秀なSF作家は育ちにくく、創作活動を奨励することも難しい」と話した。

さらに、劉慈欣は今後について、「現在、米国のSF作家は3000人以上いるが、中国のSF作家はそれに比べて少なすぎる。今いるSF小説の読者のうち、SF作品を買い続けている人は約100万人。そのため、全てのSF関連業に対して、政府による指導やサポートを強化すべき。各メディア大手が注目するにつれ、中国のSF産業は本来の神秘的な存在から人々の目に見える存在へと変化している。ここ数年のSF産業の発展状況を見ると、中国のSF産業が前へと突き進む力は十分にあるといえる。現在、四川省成都市が『中国のSF都市』の構築のために具体的な配備を行っているように、地方政府のSF産業育成や開拓への尽力はとても喜ばしく、このことは、中国のSF産業の発展にとって非常に意義深いものだといえる。良質な土壌さえあれば、たくさんのSF読者や作家を育てることができ、それは時間の問題だ」との見方を示した。

そのほか、劉慈欣は、SF作品や映画・ドラマ作品をコラボレーションさせることで、意外な収穫を得ることができるとしている。(編集YK)

「人民網日本語版」2017年11月16日

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