第2の争点は、TPPの現状維持と再交渉とのせめぎ合いだ。日本やオーストラリアはTPPをなるべく現在の形のままにして、米国がいつでも再加盟できるようにしておきたいと考える。そこで日本を中心とする11ヶ国はTPPの難易度の高い条項について、たとえば医薬品の特許の有効期間、知的財産権の保護期間、紛争解決などの条項について、しばらく実施をみあわせることで共通認識に達した。
ベトナムやマレーシアなどの発展途上国がTPPに加盟したのは、米国市場に進出したいがためだった。そこで「高い基準」を受け入れることと引き替えにして米国市場に「深く参入」しようと考えた。だが現在、米国は離脱してしまい、容量も体積も小さい日本市場では米国市場の代わりにはなれず、ベトナムやマレーシアが今後もTPPにとどまる基本的条件はもはや存在しない。そこで原産地、透明性、環境保護、人件費などをめぐる高い基準について再交渉を次々要求するようになったのだ。
第3の争点は、主導権をめぐる綱引きだ。安倍首相は自らを「リーダー」とし、TPP11交渉を主導しようとしたが、11ヶ国すべてが安倍首相をリーダーと認めたわけではない。カナダは「カナダの痕跡を残す」ことを求めるとし、交渉での発言権を要求した。カナダは、「文化」の重要性は経済貿易に劣らず、「国の特徴を形作る上で極めて重要な役割がある」とし、文化保護の条項を加えるよう求めた。またカナダの自動車部品製造工程には完成までに米国とカナダの国境を何度か往復するという特徴があるので、原産地ルールの再交渉を求めた。男女平等条項を盛り込もうとする様子などからも、日本への対抗姿勢がはっきりと見て取れる。
TPP交渉は7年にわたって行われており、米国抜きのTPP11交渉に必要な時間はさらに長くなることが予想される。結局、まとまらない可能性もある。(編集KS)
「人民網日本語版」2017年11月16日
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