中国インターネット協会が発表した「2016年中国ネットユーザー権益保護に関する調査報告」によると、宅配便の送り状はすでに個人情報流出の重要なルートとなっている。先ごろ、順豊や菜鳥、京東など、中国の多くの物流プラットフォームと宅配便企業は情報保護を施した送り状のサービスを打ち出し、個人情報の保護に取り組んでいる。
▽コードのスキャンによる利用者の情報獲得
従来の送り状と異なり、情報保護を施した送り状はバーコードやQRコード、特殊記号などを使うことにより、届け先と依頼主の情報に特殊な処理をし、一部の情報が見えなくなるようになった。
順豊は10月16日に届け先と依頼主の氏名、電話番号、住所をすべて隠し、コード化した送り状にする「豊密面単」のサービスを正式に打ち出した。また、京東は宅配員向けのスマホアプリを開発し、宅配員はこのアプリを使ってはじめて、顧客の情報を見ることができるという。
中国政法大学伝播法研究センターの朱副主任は、「送り状に記載する個人情報は非常に豊富で価値が高いものであるが、手に入れやすいものでもある。情報保護を施した送り状は個人情報の流出を予防することに役立つ。一方、会社がデータ化した情報をどのようにして利用するのかは明確にしなければならない」と話した。
▽金儲けの手段になった送り状
従来の送り状には届け先と依頼主の氏名、電話番号、住所のほかに、ユーザーネームと買物の詳しい情報を載せる場合もある。これらの情報を組み合わせ、インターネットの検索機能を利用し、利用者の好きなものや世帯の状況、経済力などと言ったプライバシーを分析するのは容易だった。
今年4月、中国湖北省の公安部は個人情報販売を摘発した。ある宅配便会社の従業員はその立場を利用し、書画や健康食品、記念貨幣などの貴重品を購入した利用者の情報を収集し、それを偽物の健康食品とコレクションの売り手に転売した。それにより詐欺犯はターゲットを絞り詐欺ができるようになった。
朱副主任は、「送り状による個人情報の漏洩は利用者のプライバシー、個人情報が守られる権利、個人の安全が守られる権利に対する侵害である。詐欺電話にまで及ぶと、利用者の財産権が侵害される可能性もある。利用者の情報を収集して転売する行為は、詐欺が起こっても起こらなくても、消費者の権利を損害する」と述べた。
▽業者による裏切り行為を予防
新しい送り状の出現は宅配情報のデジタル化と緊密に関わっているが、普及させるのは簡単とはいえないだろう。例えば、特別な設備とソフトウェアの開発、店と宅配センターの間での関係設備の接続、また新たな配送方式に対する宅配者の適応などが必要になってくる。
「個人情報がほしい人は送り状を一枚ずつ見る必要がなく、宅配会社の不届き者がユーザー情報を転売する場合が圧倒的に多い」というネットユーザーもいる。
業界関係者は利用者の個人情報を保護するために、業界内の監督を一層強化しなければならないと指摘した。現在、一部の上場宅配会社は厳しい情報管理システムを構築し、利用者の情報を検索した人のIPアドレス、閲覧時間、検索内容とその方法をすべて記録している。さらに、個人情報もコピー不可能なものにされているという。(編集HQ)
「人民網日本語版」2017年11月17日
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