次に、通貨危機が起こる可能性がある。ニクソン大統領の時代の財務長官・コナリー氏は以前、「ドルは米国の通貨だがあなたたちの問題だ(The dollar is our currency,but it's your problem)」と語ったことがある。金融危機の際、ドルを大量に刷り、ドルを海外へ流出させることによって、強制的にお金を貸したと言える。そして、米国経済が難関を突破すると、FRSは金利を上げ、ドルの還流を一気に促進した。
金融は一国の命脈で、金融が不安定になると、国自体が不安定になるということを、多くの国がつらい経験を通して学んでいる。トランプ大統領が減税政策を実施し、FRSが金利を上げ、外資が流出すると、他の国の通貨は値下がりする危機に立たされる。値下げの動きをコントロールできなくなると、その国にとっては深刻な不確定要素となる。
しかし、それらのネガティブな可能性には、チャンスも潜んでいる。ポジティブに考えれば、プレッシャーがなければ原動力もなく、トランプ大統領が減税を実施したことで、他の国も改革を余儀なくされる。息がつまるほどのプレッシャーがなければ、改革を行おうと、真剣に考え決意することもできないだろう。この改革のプレッシャーを原動力に変えるというのは、中国にもあてはまる。
トランプ大統領が減税を実施したことで、世界中で減税ブームが巻き起こり、世界経済の動向が変わることに疑問の余地はない。世界第2位のエコノミーである中国は、減税をする余地もあれば、その必要もある。外野から来た回避できないプレッシャーをうまく活用すれば、中国が世界貿易機関(WTO)に加入した時のように、中国経済が成長に拍車をかけることになるだろう。
もちろん、トランプ大統領が実施した減税が成功するかは、今後の動向を見守らなければならない。大規模減税は財政収入の減少につながり、経済に予想されたほどの活力がなければ、過度な財政赤字が、未曾有の債務危機の原因となるだろう。そうなると、世界経済は新たなショックに見舞われることになる。しかし、他の国にとっては、積極的に前へ進み、行動を起こさなければ、効果的にイノベーションの活力を刺激することもできない。また、トランプ大統領の減税政策は必ず失敗すると占えば、これ以上にないチャンスを逃すことにもなり、今後ずっと後悔することになるだろう。(編集KN)
「人民網日本語版」2017年12月6日
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