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電子書籍が急発展する現在 紙書籍の提唱はただの回顧主義か?

人民網日本語版 2017年12月12日13:47

電子書籍をダンロードする市民

近日、「北京メディア青書:北京新聞出版広電発展に関する報告(2016-17年)」が発表された。報告によると、2015年9月から2016年9月までで北京市の年間総合読書率は昨年度より1%増加し、電子書籍の読書率は初めて紙書籍を上回ったという。それに加え、第14回全国国民読書調査報告によると、2016年の電子書籍を読む中国人成年者の割合は8年連続で増加してきているという。電子書籍の読書率が引き続き増えると、紙書籍を読む人がますます少なくなるのだろうか。また、紙書籍に戻そうという提唱の意味は何だろう。

近年、モバイル・インターネットの発展につれて、多くの大都市では、スマートフォンなどのモバイル端末を持ち、微信(Wechat)のソーシャル機能「モーメンツ」を見たり、電子書籍を読んだりする場面がよく見られるようになっている。

読書の媒体手段が変化するにつれて、「電子書籍読書」が社会に次第に受け入れられてきているため、紙書籍と従来の出版産業が衰退しつつあると言われ、「紙書籍は博物館の展示品になるだろう」という見方までもある。

「電子書籍読書」が勢いよく発展しているが、第14回全国国民読書調査報告のデータを見ると、2016年の中国人成年者の平均読書量は7.86冊であり、そのうち、紙書籍は4.65冊であり、電子書籍の3.21冊を上回っており、成年者の51.6%が紙書籍を好む傾向があるということが分かる。

さらに注目すべきは、同報告によると、2016年中国人成年者の読書率が58.8%であり、成長が緩やかだが、2015年の58.4%より0.4ポイント増加したということだ。中国新聞出版研究院国民読書研究促進センターの徐昇国主任は、この現象を「紙書籍の人気が戻り始めている」と述べた。

徐主任はインタビューに対し、「米国、英国、フランスなどの国で電子書籍の売上が落ち着きを見せているのに対し、紙書籍の売上は順調に増加しつつある。中国もそれと同じだ。上述のデータを見れば、従来の紙書籍が依然として強い生命力を持っていることが分かる。『2016年中国図書小売市場報告』によると、2016年中国図書小売市場の総規模は701億元(約1兆2020億円)であり、2015年の624億元(約1兆690億円)に比べ、成長の勢いを保って12.30%も増加した」と述べた。

紙書籍の読書増加は、近年「書店に入って、紙の本を読む」という提唱に繋がっているという。長い間、「電子書籍読書」と「紙書籍読書」に対する読者の意識にある程度の誤りがあった。実は、両者は対立しているのではない。電子書籍はメリットもあればデメリットもある。従来の紙書籍は深い思考には最適であり、人々の教養を高め、それぞれの価値観の形成に大きな役割を果たしている。電子書籍と紙書籍はお互いに補完する関係だと考えるべきだ。

「電子書籍が便利で迅速なのに、紙の本をわざわざ読む意味があるのか」という疑問に対し、徐主任は、「電子書籍は表面的な読書、断片化な読書を主に得意としており、内容も比較的エンタメよりで、文章が短いという特徴がある。これは電子書籍の媒体手段であるスマートフォンと深く関わりを持っている。スクリーンが小さく、深い思考や長編の読書に適していないからだ。それに比べ、紙書籍は体系的な読書が可能であり、これを代替する電子媒体は今のところ、まだ存在していない」と話した。

徐主任はさらに、「『紙書籍に戻そう』という提唱は、読書の快適さにも関わっている。ますます多くの人が、スマートフォンなどのモバイル端末による眼精疲労に悩まされるようになっているからだ。そのため、紙書籍と電子書籍は、これからも長きにわたって、相変わらず共存することになるだろう。紙書籍の提唱は、単なる回顧主義から湧き出したものではないのだ」とした。(編集HQ)

「人民網日本語版」2017年12月12日

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