第12回全国人民代表大会常務委員会第30回会議は1日、公共図書館法草案の第2回目の審議書を審議した。審議書の第47条は「国は学校や科学研究機構の図書館および他の種類の図書館を一般の人々にも開放するように促す」と規定している。中国全土の大学2914校の大学図書館のほとんどは一般開放されておらず、その上、多くの大学図書館は教職員と学生の図書貸出が少ないという問題を抱えており、これは莫大な図書資源の浪費ともいえる。
書店で本を購入したり、友達に借りたり、今ではインターネットで本を購入することも便利になり、本を手に入れるルートは豊富だ。しかし、読みたい本を一気に全て購入するというのは不可能なこと。今はインターネットで電子書籍をダウンロードすることも可能だが、同様に価格も安くはない上、一番のネックは書籍や資料、文献のほとんどに電子版が無いという点だ。
ここ数年、電子書籍ブームが高まり、読書のインスタント化、表層化、断片化、エンタメ化が進むにつれて、読書に対する人々の習慣とニーズが大きく変化し、なんの特色も無いような普通の図書館の多くが次第に人気を失い、来館者が減り始めている。しかし図書館ならではの雰囲気と環境、心や精神文明を育む上での図書館によるサポート、社会文化の品位向上、専門的な学術研究における独特な地位はかけがえのないものだということは疑いの余地もない。
シェアの能力を最も有している上、資源はシェアされて初めて最大限の利用を実現できる。公共図書館自体、本や知識といった無形資源を社会にシェアする一種の形。大学や科学研究機関にある図書館を一般の人にも利用可能にすることは、知識シェアの延長・拡大・深化につながる。これにより、より広範囲におけるシェアを実現し、蔵書優位性と特色ある図書館の価値をより一層役立たせることができるようになる。
日常的な教育や研究活動に影響を及ぼさないことを前提に、豊富な図書館の資源を一般の人々にも開放すれば、本を読める人が増えるほど、図書館の役割も増していくことになる。とりわけ読書や自己研鑽といった気風が弱まりを見せ、金銭至上主義や浮ついた気風が漂う現代において、その浄化作用や現実的な意義がより顕著に、重要となってきている。
一般の人々向けの図書館には政府が資金を投入しており、国立大学図書館も政府が資金的に支えてはいるものの、前者は文化部(省)が管轄しているのに対して、後者は教育部(省)が管轄している。しかし二者とも公益事業に属しているため、大学図書館もまだ活用されていない図書館の資源を利用できるようにし、また社会の需要を満たす義務がある。
大学図書館を一般開放することへの反対は、大学の安全性あるいは教師と学生の読書ニーズに影響を与えることを根拠としているが、管理さえ強化すれば、そうした安全や権利への影響は回避できるはずだ。例えば、大学の現状に基づき調整を行い、授業時間帯に一般開放し、教師と学生が利用する祝祭日などは一般開放時間を制限するなど、ピークを外した形での開放を実施し、資源を合理的にシェアする目標を達成できる。
大学図書館を一般に無料開放することは、資源の無駄を回避し、シェアにも役立つばかりか、大学の広い包容力を体現し、人々に利する行為として、大学が社会に対しより多く貢献できることになる。これは大学図書館を引き続き静かな象牙の塔として存在させ続けるのではなく、より開かれた、より大きな文化の使命を担い、さらに大きな文化の抱負と社会への責任を尽くさせることになるのだ。(編集HQ)
「人民網日本語版」2017年11月8日
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