汚染物質の排出は現在進行形?
「福島第一原子力発電所の本当の現状について完全に把握している人はおらず、人々を不安にさせている。福島第一原子力発電所からの汚染物質排出は止まっているのか、まだ続いてるのかについて、検査を行い、情報を公開している国際機関はない。また、海底の汚染状況は、衛星を使っても分からない。また、福島第一原子力発電所を運営していた東京電力の信頼性にも疑問が残る。公開されている資料によると、事故発生以前にも、福島第一原子力発電所では、応力腐食割れ問題や事故が何度も起こっており、東京電力には、自主点検検査記録などのデータ改ざんをしていた前科もある」と彭教授。
「工程が複雑であるため、福島第一原子力発電所の廃炉作業も思うように進んでいない。廃炉で一番難しいのが、使用済燃料プールから燃料棒を取り出す作業だ。使用済み核燃料の処理は世界的な難題。最も一般的な方法は、密封して地中深くに埋めるやり方だ。土で深く埋めると、放射能が漏れだすことはない。しかし、深く埋めたとしても、地震や地質変動が原因でそれが出てくる可能性はゼロではない。1986年に旧ソ連でチェルノブイリ原発事故が起き、発電所全体を「石棺」と呼ばれるコンクリートの建物で覆った。鉄筋コンクリートで放射能の放出を防ぐ作戦であるものの、原子核はそれ自身の規律に従って、石棺の中で自然崩壊したり、放射能を放出したりしている。時間が過ぎ、石棺に割れ目が生じたり、破損したり、メンテナンスが十分でなかったりすると、放射性物質が漏れだす可能性もある。現在、石棺のメンテナンスはウクライナ政府にとって一番の課題となっている」。
福島第一原子力発電所の使用済燃料棒はすでに取り出され、保存されている。しかし、廃炉後の処理作業が続く中、小規模な火災などのトラブルも続出している。そして、汚染水が処理されずに直接海に排出され、水産物を汚染している可能性もある。
現状に基づいて福島産の食品輸入解禁検討を
今年1月初め、福島産の食品輸入解禁について、中国でも大きく報道された。この点について、彭教授は、「福島第一原発事故発生後、中国政府や世界各国の政府は、輸入を禁止、制限したり、検査を強化したりしたことは、必要で正しい措置だった。しかし、7年という時間が過ぎたため、汚染の程度に基づき、政策を適度に調整し、現状に基づいて、段階的かつ慎重に、解禁を検討することができる。それは、福島産の食品輸入を解禁してほしいという日本に対する姿勢ともなる」との見方を示している。
福島産の農産品は安心?
彭教授は、「色眼鏡でそれを見るのではなく、科学的にその問題を検討しなければならない。農産品の検査結果が食品安全基準をクリアしていれば問題はない。食品の放射性物質の検査基準は、国によって違うものの、その差は大きなものではない。土壌の検査も、放射能の強さや比放射能が基準をクリアしていれば問題ない」との見方を示している。そして、現在、福島県出身の人が自宅に戻り始めていることについて、「放射能の影響を受ける範囲は時間の経過と共に小さくなる。大事なのは、帰る場所の放射能の状況で、安全な数値内であれば戻ることができる」とした。
日本農林水産省の統計によると、2017年12月の時点で、中国、米国、ロシア、韓国、シンガポール、台湾地区などが依然として、日本の一部の地域、またはすべての地域で生産された食品の輸入を制限する措置を講じている。(編集KN)
「人民網日本語版」2018年1月31日
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