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冬季五輪はすでに「北京スケジュール」に組み込まれているといってもいいだろう。北京大学がこのほど発表した情報によると、同校工学部の張信栄教授のチームが担当する冬季五輪サポート技術に段階的な進展があった。中国初の摂氏0度以上でも使用可能な環境保護型人工造雪設備の開発に成功し、さらに延慶石京竜スキー場で中間試験モデルプロジェクトを建設している。試作機の造雪量は1時間当たり6立方メートルに達する。北京日報が伝えた。
国内外の人工造雪技術の多くは氷点下の環境が前提となっている。気温が2度でも造雪できる設備もあるが、気象条件にかなり厳しい制限が求められる。しかも冷却技術の多くがフロンなどの冷却材をメインとしており、オゾン層を破壊し気温上昇を引き起こす原因となりやすい。2022年冬季五輪・パラリンピックは同年2月から3月に開催されるが、近年2月から3月にかけて北京の気温が上昇傾向にある。そのため気温0度以上でも造雪が必要という難題を解消することで、競技進行に支障を与えない五輪開催を保証していく。
チームは冬季五輪の実需に焦点を絞り、0度から15度、さらにはより高い気温下での造雪と雪の保管、暖房供給を一体化させた技術・設備を開発し、モデルの応用を進めていく計画だ。同チームは十数年前よりフロンの代わりに天然の二酸化炭素を用いる冷却技術の開発を開始した。二酸化炭素を冷媒とし、人工造雪条件下の二酸化炭素冷却熱力学循環システムを開発し、かつ冷却システム内の熱交換器とパイプの構造及び制御案を改善した。
同チームのメンバーで北京大学工学部の鄭秋雲副研究員によると、既存の0度以上の造雪は通常「造氷」であり、機械で作った氷をカッティングして粒状にしており、本当の意味での雪ではない。そのためその表面は硬く、選手が転倒した場合など怪我をしやすい。今回開発している環境保護型人工造雪設備で作る白く柔らかい雪は自然のものに非常に近く、かつ雪のさらさら度合いを調節できる。さらに造雪機が生む熱を直接リサイクルし、選手のシャワーや室内の暖房など、生活面やオフィスに活用できる。
フロンを冷媒とする造雪技術と比べると、この設備はエネルギー消費量を3分の1から半分に減らすことができる。液体窒素造雪技術と比べた場合でも、そのコストはわずか3分の1という。(編集YF)
「人民網日本語版」2018年3月16日
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