米国のトランプ大統領は現地時間今月5日に、通商代表部(USTR)に対して、新たに1000億ドル(約10兆6900億円)の追加関税の検討を指示したことを明らかにした。それに対して、中国商務部(省)と外交部(外務省)は6日、「必ず新たな包括的対応措置を用いて敢然と反撃する。代価も惜しまず、必ず国家と人民の利益を断固として守る」と強硬な姿勢を示した。央視網が報じた。
トランプ政権の今回の措置をめぐって、米国の複数のメディアは「米中貿易摩擦が激化」と報道。米国のアナリストや商業界、国民が世界二大エコノミーの間で「貿易戦争」が勃発することを懸念する声を上げている。
米国商務省で働いた経験を持つという国際貿易弁護士のマーク・ドナルド氏は、「米国政府の複数の通商法を利用した調査、特に『301条』に基づいた調査は、業界の要求に応じたものではなく、トランプ政権が決定したことで、これまで行われたことがなかった」とした。
そして、「私は、トランプ大統領は通商法を乱用していると思う。米国はもっと慎重に中国との貿易摩擦を処理しなければならない。米国が世界貿易機関(WTO)と話し合う場を設けずに、一方的に『301条』に基づく調査をするというのは、WTOの規定に反してる」と指摘する。
米国の通商法という面では、米国政府が鉄鋼とアルミニウムの追加関税に適用することを決めた通商拡大法232条は、特に国家の安全と経済の安全を合わせて考えている。
最近、ネット上では、「貿易戦争」に関する検索が激増している。ドナルド氏によると、「国際貿易に長年従事しているが、一般国民がこれほどまでに『貿易摩擦』に関心を示しているのは今回が初めて」という。輸出に依存している米国の農民や、機械製造業の労働者、株式を持っている米国国民などが貿易戦争を懸念している。ウォール街の企業のトップも例外ではない。例えば、JPモルガン・チェース・インターナショナルのジェイコブ・ フレンケル会長はこのほど、「米中貿易戦争は、世界経済にとって最大の脅威」との見方を示した。
日本経済学者「米国は日本にしたことを中国にもしている」
1980年代、米国と日本の間でも貿易摩擦が起きた。当時、米国は何度も「301条」に基づく調査を武器に、日本に対して貿易構造の改善を求め、日本政府に譲歩し、輸出を自ら制限し、市場を開放し、対外直接投資を増やすよう迫った。そのような歴史を背景に、日本の経済学者は、「米国はまた同じことをやっている」との見方を示す。
通商法「301条」というのは、米国国内の法律で、米国政府はそれを国際事務に適用しようとしている。日本の経済学者は、「それはWTOなどの多国間貿易体系を無視した行為だ。一方の中国はすぐに対抗措置を講じると同時に、WTOのトラブル解決手順に沿って手続しており、中国の反撃は合理的で抑制されたものだ」と指摘する。
日本経済学者は、「グローバル化時代において、世界が連携し、共に繁栄するというのが各国の発展のための共通の認識。各国が共通の貿易規則を遵守するのは非常に重要である」との見方を示す。(編集KN)
「人民網日本語版」2018年4月10日
このウェブサイトの著作権は人民日報社にあります。
掲載された記事、写真の無断転載を禁じます。
Tel:日本(03)3449-8257
Mail:japan@people.cn