この時期の造林活動は第1次造林拡大期と呼ばれる。50年代の半ばには、日本の森林の植生は部分的に回復したが、戦後の再建と経済復興の取り組みが日に日に活発になり、住宅やその他の建築物に利用される杉や松などの針葉樹の木材に大量のニーズが生まれた。経済発展に欠かせない紙のニーズが、製紙産業に大きな刺激を与え、針葉樹が必要になった。これと同時に、石油や天然ガスなどの新型エネルギー、化学肥料が広範囲に使用されるようになり、これまでは燃料や肥料などに用いられてきた広葉樹木材のニーズが急激に減少した。こうした要因がさまざまに作用し合った結果、日本政府は次の3つの政策を打ち出すに至った。1つ目は木材輸入を開放し、国有・民間の造林地における伐採量を増やして、木材価格のバランスを取ること。2つ目は製紙会社の技術バージョンアップを奨励し、針葉樹パルプを広葉樹パルプに代えて紙を製造することだった。後に重大な影響をもたらしたのは3つ目で、日本政府は造林に補助金を支給し、伐採では建築材料には不適切な天然林を主要目標として、針葉樹を統一的に植栽する人工林を造成した。こうした措置の影響を受けて、60年前後から、日本の天然広葉樹林の伐採量が増加を続け、伐採後の広葉樹の空き地には、早く育つ針葉樹が人工的に大量に植栽された。わずか20年ほどで、日本の人工林面積は30%増加し、天然林面積は15%減少した。
その後、市場は飽和状態になり、木材価格は低下を続け、さらに人工造林に利用できる空き地も足りなくなり、日本の人工造林の取り組みは低迷期に入って今に至る。2010年以降、日本の毎年の人工造林面積は60~70年代の平均の10%にも満たない。それでもなお、現在の日本全国の森林に占める人工林の割合は40%に上る。
日本のこれまでの歴史の中での造林活動を振り返ってわかることは、造林活動の誕生を促した要因の中に環境保護の意識もあったかもしれないが、全体としてみれば経済的利益が根源にあり、結果として環境や国民の健康に不可逆的なマイナス影響を与えた。特に天然林を破壊する人工林の造成という行為は、生物の多様性を脅かし、原生林の生態システムを大きく破壊した。また人工林は広い面積での同質化という特徴があるため、病虫害が発生した場合に抵抗力が弱い。このほか経済的利益のために広い範囲で杉を植えたため、日本では毎年春になって杉の木が受粉の時期を迎えると、花粉が広範囲に飛散して、スギ花粉症を引き起こす。統計によると、日本では毎年30%の人がスギ花粉症に悩まされているという。
日本では最近、木材輸出が積極的に推奨され、人工林は成熟して収穫期に入っているが、まだ十分に利用されているとはいえない。合理的に伐採していないため、森林が荒廃し、樹木が育ちすぎるといった状況もみられ、森林の質が明らかに低下している。(編集KS)
「人民網日本語版」2018年8月6日
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