LAMOSTが発見したリチウム元素を豊富に含む恒星(国家天文台提供)。巨大な火球がこの恒星であり、白い円形のエリアから発見された。左下はLAMOSTが撮影したスペクトル。背景はこの恒星の周辺に広がる銀河の写真。 |
中国科学院国家天文台を中心とする科学研究チームはこのほど、大科学装置「郭守敬望遠鏡(LAMOST)」を使い、変わった天体を発見した。そのリチウム元素は同類天体の約3000倍で、現在まで発見されているうちリチウム元素の含有量が最高の恒星となっている。国際的なオンライン学術誌「Nature Astronomy」が7日、この科学研究の発見を発表した。新華社が伝えた。
リチウム元素はビッグバンや宇宙塵、恒星を結びつける上で重要な元素となる。そのため、宇宙と恒星におけるその変化はこれまで、天文分野の重要課題とされてきたが、現代天文学のリチウム元素に対する理解にはまだまだ限界があるというのが現状だ。リチウム元素を豊富に含む大型惑星は非常に珍しく、リチウム元素の起源と変化を明らかにする上で重要な意義を持つ。過去30数年間にわたって、天文学者はこのような天体をごく少数しか発見していなかった。
郭守敬望遠鏡・スカイサーベイ計画の展開により、その膨大な恒星スペクトル観測能力が天文基礎研究で徐々に力を発揮し、今回の科学発見で極めて重要な役割を果たした。この新たに発見された恒星は、銀河系の中心付近のへびつかい座の方向にあり、銀河系の北部に位置する。地球からは約4500光年離れている。
今回のこの重要な発見は国家天文台の閻宏亮博士、趙剛研究員、施建栄研究員によるもので、中国原子力科学研究院や北京師範大学などの大学の科学者も協力し、この珍しい恒星の研究に取り組んだ。それによると、この恒星のリチウム元素は恒星内部の特殊な物質交換により生まれたものではないかと推測している。さらに米国の惑星自動追跡望遠鏡(APF)の高分解能スペクトル、中国原子力科学研究院の最新の原子データと結びつけ、その内部の変化をシミュレート・再現することで、この恒星のリチウム元素の含有量の合理的な解釈を導き出した。
情報によると、この発見は天体におけるリチウム元素に対する認識を変え、世界のリチウム元素含有量の観測の限界を2倍に引き上げた。さらに同研究は理論上、リチウム元素の合成と既存の恒星の変化理論に対して、独特かつ新しい観点をもたらした。(編集YF)
「人民網日本語版」2018年8月8日
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