このほど、東京医科大学の入試で、女子合格者を減らすために、女子受験生が一律減点されていたことが明らかになり、世界的にもこの問題に注目が集まっている。調査によると、同大学は少なくとも2006年から、得点操作を行っており、その理由は、「女性は出産後、離職したり、勤務時間を短縮したりするからだ」としている。 新聞晨報が報じた。
女性差別は、日本だけの問題ではなく、世界中で見られる問題と言えるだろう。世界経済フォーラムが発表した2017年版の「世界ジェンダー・ギャップ報告書」によると、現在のままの進展速度だと、世界で完全な男女平等が実現するのは100年先のことだとしている。
しかし、東京医科大学のような名門の私立大学が、女子を一律減点するという差別を行うのは、あまりにも「大胆」な行動といえる。さらに、多くの人を驚愕させているのは、日本の女性医師を対象に実施されたアンケート調査で、同大学の対応に何らかの理解を示す人が6割を超えたことだ。
「理解できない」と感じる理由は往々にして、その理由をよく知らないからだ。日本の女性の就業状況をある程度知ると、東京医科大学の「大胆」な行動だけでなく、アンケートに答えた女性医師らの示す「理解」に対して、「理解できない」とは感じないだろう。
2017年版の「世界ジェンダー・ギャップ報告書」によると、日本は調査対象144ヶ国のうち114位となっている。ランキングが低かった主な理由は女性の経済的参加度が低いからだ。
日本では、女性の労働力率は、20代で上昇し、結婚・出産期に当たる30歳に近づくと一旦低下し、育児が落ち着いた40代の時期に再び上昇し、定年になるとまた急激に低下するという、いわゆるM字カーブを描くことで知られている。M字カーブを描くのは、日本の女性は育児の時期にその多くが一時的に離職するからだ。
日本では、「夫は外で働き、妻は家庭を守る」という考えが非常に根深く、その上、保育園などの不足や深刻な残業問題などが重なり、多くの女性が出産後仕事を辞め、夫を支え、子供を育てる主婦の生活を始めざるを得ない。統計によると、日本で第一子を出産した後に職場に戻る女性はわずか38%にとどまっている。
そのため、「女性は出産後、離職したり、勤務時間を短縮したりするからだ」という東京医科大学の説明は、日本で確かに幅広く存在している現状であり、調査に答えた女性医師の6割以上が理解を示すのも不思議なことではない。しかし、「理解を示す」ことはそれを「賛成している」とは限らない。女性差別に拍車をかけるのではなく、女性のためにもっと良い就業環境を作り出す方法を考えることこそが、社会の進歩を推進する存在であるはずの大学がすべきことだ。
さらに、日本は現在、少子高齢化が深刻化し、人口が減少を続けて、労働力人口が一層不足し、日本の有効求人倍率(求職者1人あたりの求人数)は1.59と1970代以降最高レベルの人手不足に陥っている。このような背景の下では、女性も働くよう働きかけるべきで、女性の就職の機会を減らすようなことはすべきでないはずだ。米ゴールドマン・サックスのリポート「Womenomics 3.0: The Time is Now」は、日本における女性の就業率が80%になれば、日本のGDPは最大15%増加する可能性があると予測している。
安倍首相も女性の就業が大きな問題であることをすでに認識しており、早くから「ウーマノミクス」を掲げ、 2020年までに、第一子出産前後の女性の継続就職率を55%にまで引き上げることを目標にしている。そして、「日本の成長戦略の核心は、全ての女性が輝く社会づくり」を強調している。
しかし、今回の東京医科大学の得点操作を見ても、安倍首相の「ウーマノミクス」の道のりはどれほど険しいかがよく分かる。大学でさえそのような現状であるのなら、社会の他の分野でも女性差別がどれほど根深いかは想像に難くない。果たして20年までに日本の女性は輝けるようになっているのだろうか? (編集KN)
「人民網日本語版」2018年8月14日
このウェブサイトの著作権は人民日報社にあります。
掲載された記事、写真の無断転載を禁じます。
Tel:日本(03)3449-8257
Mail:japan@people.cn