英国紙「フィナンシャル・タイムズ」の最近の報道によると、米国のニューヨーク連邦準備銀行はこのほど発表した最新の報告書の中で、「エスカレートする貿易戦争が米国の輸出と輸入をどちらも減少させる可能性がある。米国国内のメーカーがさらに高い輸出コストに直面する可能性があるからだ。大量の輸入商品に追加関税を課すのは貿易赤字の減少に結びつかない」との見方を示した。「経済日報」が伝えた。
ここ数ヶ月の間に、米国は一連の輸入製品に対して追加関税を実施した。同報告書は、「追加関税は輸入を減少させるかもしれないが、輸出価格が維持されると考えることはできない」と指摘する。同報告書の作成者の一人で同銀研究・統計チームのメアリー・アミティ氏の分析によれば、「米国の輸出が減少する可能性がある。他国が米国の輸出商品に課す報復関税だけが原因でなく、米国企業の商品生産・輸出コストが上昇して、米国の輸出商品が世界市場で競争力を低下させることも原因だ。最終的に米国の輸入も輸出も減少し、貿易赤字はほとんど改善されないと予想される」という。
同報告書は中国が2001年に世界貿易機関(WTO)に加盟してから輸入関税を引き下げるようになった状況に言及。それによると、00~06年に中国の輸入の平均関税率は15%から9%に下がり、輸出入がともに大幅増加した。関税引き下げを通じて、中国企業は生産コストを引き下げ、生産性を引き上げ、このことが中国企業の輸出商品価格の引き下げを促し、米国市場でのシェア獲得にプラスにはたらいた。原材料への関税率の引き下げ幅が最も大きな産業は、対米輸出の増加幅が最も大きな産業だという。
同報告は、「こうした要因に逆方向の動きがみられれば、反対の結果になることが予想される。中国の輸出入量・輸出入額の激しい変動ぶりからわかるのは、関税を引き上げる国は輸入が減少するだけでなく、輸出も減少の可能性があるということだ。原因の1つとして、米国の大手輸出企業の多くが中間製品の輸出に大きく依存しており、こうした関税引き上げの影響を受ける産業の輸出企業が国内のサプライヤーに転じれば、価格を引き上げても競争力を維持できるとみられることから、その生産コストの上昇が予想されることがある。原材料に依存した米国の輸出企業はマイナス影響を被るとみられる。ここでは米国の制裁関税の対象となった国が発動する報復関税措置の影響は考慮されていない」と述べた。(編集KS)
「人民網日本語版」2018年8月16日
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